【進路】僕が研究職に決めた、たった一つの理由③
研究職・研究者ってなんか調べれば調べるほど、ブラック職種な気配。。実際の研究職の人は、なんでそんな進路を選んだの?ーーそんな疑問に、現役のScientistがお答えします。
ちなみにこの話は第三弾。前回の、Scientistの良い所、で気分を良くしてから、がっつり地面に叩きつけに行くスタイル。こういうところが、僕がScientistを呪われた職種だと言う所以です。好きになっちゃう人は、好きになっちゃう。そしたら、
も う
逃 げ ら れ な い
ね?呪いでしょ?
まあ前回から色々と言ってますけど、
僕はちょっと変な研究者だと思います。レアです。
一応、現役の大学研究職の端くれとして、幅広く、大学研究職という仕事選択で「良かった」「キツい」と感じている、または感じるんだろうな(普通は)って部分を広く共有していきたいと思ってます。が、サイエンスは特に好きでも嫌いでもない変なScientistなのでご注意を。
ただ。こういうお話から、自分の幸せのカタチが、大学研究職にあるかどうか見極められるといいですね(^^)
ではでは、
まったり始めましょう!
Scientistの悪い所
① 実力主義自体は、残酷じゃないんよ
前回記事の①が「実力主義って言うのは利点でもある」の時点でお察しですが。。
いやいや、実力主事自体は問題じゃないんですが、最初の記事から一貫してお話してるように、日本のサイエンス業界、特に大学研究職業界は「お仕事」としてこれをするための文化が凄く未成熟です。
だから、実力ないってジャッジになると.. どうしよう。。ってなります。ちなみに、研究実力足りてなくても生き残る方法はいっぱいあるんですが、本当に、何も考えずに何も持たざる者として、この業界にいると、30代半ばから30代後半で、かなり困った状況になるでしょう。ここ、この業界あるあるの転換期です。
前述の何も持たざる者、何も考えずにがむしゃらなだけだと、大学研究職の、"大学"には残れなくなります。でも、企業研究職に行けるかって言ったら、そうはなりません。企業研究職が大学研究職の下位互換じゃないので(たまに間違えてる人いるので)。何に重きをおいてるかとかスタンスが違うだけです、あと企業研究職の方が、仕事としては整備されてはいますね。案外、企業研究職がマッチすることにあとから気付く人もいます。だから、もう基本は別物です。
結局、大学研究職で、本当に何も持たずに、ただただ実力主義の業界に食らいつこうと必死に藻掻いていただけの人は、関連業種などに橋渡りするのも大変なのです。まあ最悪どっかには流れ着くと思いますけど、色んな意味で望みに沿う形にするには、以下のことが何より大事。
大学研究職の人は、研究だけじゃなくて、自分の人生も、自分でマネジメントしなきゃいけません。頑張って目の前の仕事したら昇進するような世界では有りません。
研究実力がなくても、別に大学研究職としてどこかに居れます。でも研究実力をつけるしか自分にはなかったのに、それだけ頑張ってきたのに、その場所その研究実力で戦えなかったら、かなーりヤバい。
例えば、EUはかなり大学研究職に溢れてます。あなたがEUにコネクションがあって、別にいっかくらいの文化障壁しかないなら、道は広がるでしょう。
例えば、大学研究職の募集って結構、知り合いとかに話が回ります。大学研究者ってやべー人の割合も多いし、仕事できる以外に、人柄的に安牌な人とか、今やってほしいプロジェクトに合ってそうな人が欲しい時もあります。そういうのって出来レース公募がいっぱいあるのです。公募だしてあなたが頑張っても、もう実は採択予定者はいるかもしれない。あなたが研究を頑張りすぎて人脈作りを怠っているとこんな自体に。
例えば、大学の運営戦略とか、ラボ運営者の戦略が必ずしも論文を求めているわけではないかもしれない。研究そのものの実績より、この特定分野を拡張したい、であったり、こういう機材導入から幅を広げたいとか。国際性を重視したい場合だってあります。ナンバーワンより、オンリーワンが強い場合ってのは、往々にしてありますよ。競争率が低いっていう勝ち戦。
①の総括はですね。
実力主義とか言っていながら、実際のところ、この"実力"ってやつは、【最低限の研究能力+不確定な色々な能力(研究能力はココにも入る)】って成り立ちをしていて、僕らはその見えない要素を最適化するために人生マネジメントせにゃならんって無茶振りです。
業界歴長いと、この辺りがキチンと見えてきて「え?俺の予想と違くね?」ってなるww
②給料変動大きいけど、そもそも低い
医者ってあんまり、研究者にならないんです。医者として働く方が、教授の2倍くらい給料あるんです。教授ってこの業界のトップなんです。でも給料そんなに高くないんです。
業界最高峰の雑誌を出したり、iPS発見の論文出してもボーナスはありません(ノーベル賞も所属機関からボーナスとかないんじゃないかな)。MD(医師免許)もってる僕の前ボスは、たまに、病院の夜勤行くんですよね。一日で10万円くらい入ります。Scientistやってけなくて詰んでも、病院では働けます。僻みじゃないです。
あ。
まだ追い打ちかけときますね。
大学卒業して、大学院。大学研究職を目指すなら、最低でも、修士/博士で6年間分の学費と生活費がかかります。たぶんアルバイトなんてする余裕はないでしょう。
大学研究職って言うのは
ある程度、お金とバイバイする職種です
もしもあなたが大学研究職として成功できる人間だったとしても、たぶん、そんな人間であるなら尚更、他業種だったら金銭的にはもっと裕福になれたでしょう。
もう一度、言いますよ?
お金にあまり興味ない人しか基本は来れません
お金に興味ないし、あんまりお金使わんわって人が割と頻繁に困窮する道です。貧困がそんなに気にならない人達が惨めさを感じることになるレベルです。
月の食費1万円で生活してても、友達の結婚式に「俺、ご祝儀払えないから行けないんだ」って返すことになって「分かってる、でも来てくれるだけでいいんだ」って泣くハメになるでしょう。ちなみにその後に「いつか出世して払ってくれよな」と言われ、出世しても裕福にはならないんだけどな、と苦笑いするハメになるでしょう。
ちなみに、僕はこのご祝儀を3倍返しするために、金銭的不利をちょっとでも巻き返すために、海外に飛び立ったわけです(無事に万札叩きつけられてよかった..)。
いいですか?
あなたがノーベル賞とっても、Scientistとして大成しても
さほど裕福にはなりません。
普通より所得が多くても、そこまでの対価が大きいので、トータルとしては、まあ裕福な方が最大値でしょう。そしてこの業界でソコに至れる人なら、たぶん、起業しても大半は成功できます。会社で普通に出世できます(か、クレイジーすぎて干される)。
お金で考えると最高にコスパ悪いです。
なんて夢のない。
ちなみに、日本が海外より、サイエンスの文化的・制度的な成熟が遅れてる理由の一端は。。海外だと大学院って給料出ます。ポスドクも社会的地位低すぎて、保証人いないとアパート借りれないなんてことはありません。
余談だけど、完全自動運転車とかできても、日本は法制度遅れてるから、走れないらしいね。海外は法律自体は作ってあって、テスラが作ったらもう走れるみたいよ。
③博士号(PhD)が、論文実績が.. とれない?
先に断っておきたいのですが。。
この記事シリーズで書いているとおり、「才能がある」「研究・論文を出すことが向いてる」総じて、この分野なら勝てると思ってScientistという職選択を今までしています。だから僕は、代わりに「好きなことを仕事にする」「好きなことに関わる仕事をする」という選択を捨ててます。「うまくやれる、努力が報われる、むいている」が僕の仕事選択に一番大事で、候補の一つがScientistでした。
それから、人間関係に恵まれていたと思います。僕は昔から人間関係になんだか恵まれていてそのことをとても感謝してます。代わりに、結構不幸体質ですし採算は取られてるはず。くっ神め。。
つまり、僕はPhD取得ではあまり困ってませんでした。
ただこんだけ大言壮語しても、全然困ってなかったとは、絶対言えない。
ただ博士課程進学者って、次なにするにしても、PhDをゲットすることが前提にあるんですよね。だから、PhDの取得に不安がある状況だったり、PhDの取得が遅れつつあったり。。様々な場所で発狂できます。
PhDがねえと、未来は開かねえんだよ。
頼むよ。。
実際はそんなことはないんですが、閉鎖的な環境でのハイパー実力社会ですし、そういう感覚に陥りがちですし、自分の道を進む際に、上記の不安が常に脳裏をちらつく、そんなよくない精神状態に陥りやすいでしょう。
.. これが悪い部分だと思った?
実はここまでのお話が、全部、前置き
ーーっていう衝撃。
そもそもの話。
実力不足で、PhDが取れないならまだ納得できるでしょうが、実際は自分の実力うんぬん関係なく、PhDを取得できない場合が多発します。これは、目の前のラボ運営者や直属の先生に問題があるように見えて、実際には日本のサイエンス文化が未成熟で未整備だからでる闇です。
つまりですね。
あなたの研究と論文は、あなたの作り上げたものです。
が、全体としては、それは”あなた直属の先生”、ひいては、”ラボ運営者の実績”にもなるわけです。今の出来栄えにあなたが満足しようが、あなたが来月までに論文が欲しかろうが、直属の先生やラボ実績の観点から、それが許可されないなんてことが起きます。
補償のない実力主義はこういうのが出るから、いくない。
あなたのPhD(人生)を生贄に、より出来の良い論文を召喚!
↑
これが状況説明に最適。
あなたはデュエリストじゃなく、場の研究員
ちなみに僕がいま居る海外ラボって、ある分野では世界10本指に入るくらい大御所なんですよね。だから、誰がなんと言おうと、PhDや大学研究職(ポスドク)が泣こうと、IF20以下には出しません。IF20の結論ならそのテーマはお蔵入りです。
僕らが、人生をマネジメントしなきゃなように、あなたの直属の先生や、あなたのラボのボスも、人生をマネジメントしてます。ココが不一致になって妥協点が見付からないと、ヤバいことになります。だって、学生・ポスドクの方が立場が低いからね、強行できんのよ。。
④ 若いんだから指導しろよ!⇒こっちも火の車なんよ!
実力主義社会の弊害というか、やっぱり職場として、新人入るのと出てくスパンが早すぎるのもあって.. 日本の大体の大学研究室では、大学院生って戦力です。ただこの戦力の使い方はラボ毎に違います。
学生なんて放っといても、いっぱい来るし、育つヤツは育つ。育ってきたやつだけを収穫するのが一番効率がいい。っていうのが僕の前ラボのお話。もちろん、キチンと学生指導してくれる先生やラボもありますが、まあ正直、学生指導と研究実績を両立するのは困難なので、大半は逆相関するわけです。
これ、立場でセリフ変わるんですが。
(本当は悪いヤツなんて居ないんだ)
学生「学費払ってんだぞ!学生だし教えろー」
ポスドク「俺は研究雇用されてんのに、なんで指導しなきゃなんだー」
先生「教育しても更新/昇進/転職に関係ないのに、論文指導とか重すぎだろー」
ボス「てめーら維持すんに金がいるんだよ、論文じゃなくて、研究費だあああ」
やっべーぜ。
学生が思ってる以上に、実は論文出すって大変で学ぶことが多いです。たぶん、一回出したくらいじゃ学びきれないし、自分で研究できる!って自信が付いてきてもまだまだ学ぶことあります。そんな中、挑戦する最初の論文とか、ぶっちゃけ、全員、運ゲーです。知らんものをどうやってカバーしとけと言うのか。
ポスドクは、一応、大学職員じゃないので、学生指導が業務外なんですけどねえ。。ラボの一員だからラボの業務は分担的な?でも、先生含めて、研究室での学生指導そのものって殆どの場合、僕らの契約更新とか、次のキャリアアップになんら役立たないわけです。でも、前述の実力主義を促すシステムとして、大学研究職って基本的には任期制!3-5年以内に仕事をいい感じに完結させて、次行かなきゃなんです。。その合間に、Scientistの卵を育てろってーー俺は、俺の人生を生贄に、お前の未来を召喚!なんてお人よりじゃねーのよ、みたいな心境も分からんでもないですよね。
ボスはボスで、大学運営者の一人であり、そっちであれこれ、研究室の運営者であり、そっちであれこれ。学生やポスドクは「絶対に論文が欲しい!!」でもラボのボスは必ずしもそうではないんです。ここの辺りの、ラボの運営戦略はボス毎に違うので見極めが大事です。ボスのラボ運営戦略って、だいたい共有されてなかったりするので、研究の実労働者とボスの間の利益の不一致起こると、「あなたのその論文を出す」がボスの中で完全にボランティア化する場合も。。
学生くらいの立場の読者多そうだから、学生がいざ論文出す時に「そんなん知るかボケー!先に行っとけー!!!」みたいになりがちなこと。
統計グラフに使った元の解析画像全部必要だったり/ピクセルとか画像処理の問題で論文使用できなかったり/論文ってどうやって出すの?/カバーレターの書き方だったり/英語校閲する会社だったり/Fundの部分の書き方だったり/実はアブストって書き方にルール(常識)あったり/こっちの書き方の方が、通りやすい/あとからのこのウエスタン差し替えて/レフェリーに読まれることを考慮した構成/これ実はまだMTAとってないからFigureのせれない/マウスバッククロス/え?Figureってパワポで作るんじゃないの?/自分の英語クソすぎー/投稿先違うと引用も書き方違うんだ、へえ.. え?全部書き直すん?/生データは一緒にやってた友達が持ってます!はい、やり直します!/パラメトリック検定ってなに?これ有意差ないの?/これ、業界じゃ認められてない?/この派閥はこの内容認めないからopposeで/レフェリー選択のreason?/共著者のサインいるのに.. 返事が来ない!!!/なにこのチェック項目、これ☑しないと出せないの?俺、これ知らないよ?だって俺んじゃないもん/掲載料払えないから..ウチではこの雑誌に出せない!?え。金とるの?
で。
ここからが大事なんですけど、この教育の差って結構、ラボ毎に違いがあるんですよね。だから、次のラボに移動したら必要な教育項目が何段階か飛ばされてたり、あとからそれ知らんってなったりします。笑えん。。
⑤ 大学研究職におけるコミュ力とは
さて、Scientistの良いところの数を、悪いところが上回ってきました。前記事で少し書きましたが、理系は文系に比べてコミュ障、ならまあ全体的にはそうかもしれません。で、大学研究職にコミュ力は必要か、と問われれば、めちゃくちゃ重要、が答えです。
はい。
だから結構、人間関係とかコミュニケーションで疲れる場合も多いと思います。大学研究職のよくないところは、別にコミュ障拗らせてても暫くは問題ないんですよね。。でも、真綿で首を締めるように、だんだんとあなたの研究生活を重くしていきます。
他の人は、俺の知らないネット非公開の公募情報を持っている
他の人は、俺の研究より劣ってて問題だってあるのに、ハイIF論文になる
他の人は、俺より実験してないのに論文数が多い
(俺は全部、俺の論文で第一著者だぜ)
他の人は、俺が使えない機材やマテリアルを使う
まあ分野によるとは思いますけど、僕の分野は僕の体感、実力派Scientistと社交派Scientistの割合は3:7くらいです。コミュ力を武器にそれを研究実績に昇華したり、生き残りに利用したりしてる人のほうが多い印象です。なお、上の職になるほど、社交派が増える印象なのが不思議。その時から、なんとなくな予感はあったんです。
いつも言ってますが僕の今ラボって同分野、世界屈指のビックラボなんですが。。僕が最初にこのラボのボスを見て思ったことは「ああ、フィクサーってまじで居るんだな」でした。
研究とは社交界、貴族の遊び、
そしてヤツは貴族でした。
ちなみにwikipediaより、「フィクサー(英: fixer)は、政治・行政や企業の営利活動における意思決定の際に、正規の手続きを経ずに決定に対して影響を与える手段・人脈を持つ人物を指す。」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%BC
こうして
ピュアなScientistだった僕は、世界Scienceの荒波の中で、汚れていったのでした。。まあ僕は別にサイエンス好きでも嫌いでもないから良いんだけどね、なんかイメージ崩れるわ〜とは思ったのであった。
つまり、実際のScienceは僕の理解では、ごりごりの貴族社会の歴史的な名残があって、日本でもそういう派閥争いとか、色々な政治的しがらみがあってーー自由な研究があって、正しく評価される世界ってわけじゃない。実力だけで全てを勝ち取れるスポーツのようなものでは、全くないのであった。生き残るには、うまく生きるのが重要。貴族の社交界だから。
故に、コミュ力は絶対必要。
そして、引きこもり陰キャの僕は、まれにそこで疲れ果てている。
⑥ 大学研究職を目指したとき、諦めなきゃ
これさ。
仕方ないけど、早い婚期です。
博士課程卒業までは所得のない学生なので、結婚とか、ましては子供とかは、人生設計的にかなり難しいです。お金ともある程度、ばいばいしますし。
後、大学研究職は任期制の渡り鳥。
それが成長するのに良いらしいのです。。
(正直同意できるから悔しい)
あと、施設毎に設備(機材はベンツが霞むくらい高価)が違うので、
あっち行ったり、やめたり、こっち行ったりという側面も。
まあだから、転勤族。
マイホームは半ば諦めましょう
そして、終身雇用はされません。
縛りのない自由とその代償です
僕は最近EU民なので、日本帰るのに15時間とかフライトしてるので、何も思うことなくなりました。日本なんて言うてもどこ居ても近い、寝てりゃ着く。でもまあ、学生の感性とか、普通の人はそうは思わないでしょう。ここは嫌な部分なのでは?
あと、、これ。
僕は(あんまり)なかったんですけど。
周りからの理解。
これがないって結構キツイ。孤独との戦いになりがち。
僕は仲間もいっぱい居て、他の友達は優しく理解を示してくれました。ただ大学研究職、大学院進学ってものが特殊でイメージつかなすぎて、ふとした悪気ない一言で、それでもどうしようもなく傷ついたことはあるんです。だからね、思うんですよね。
お父さんお母さん、みんな、ありがとうって。
聞く限り、ここで周りが理解を示してくれるか、分かろうとしてくれるか、って重要です。日本は敷かれたレールを効率的に進むのを最良とする人生がタイムアタック厨民族なんです。同調圧力も酷い。僕は仲間には、地元に嬉しそうに帰って、ひどい顔して戻ってきたヤツもいました。。
あと、合コンではモテない。
マッチングでもモテないです。
まとめ
なんかやべーことを書きまくってしまった気がする。。
ただ僕が言いたいのは、「清濁を併せ呑みつつ、うまく生きる」あるいは、「清濁を跳ね除けて強く生きる」必要があるのかなとは思います。僕はサイエンス好きでも嫌いでもないし、だからこそ誇りあるScientistじゃありません。「まあそういうのもあっていいんじゃない?」って表面で、裏がごりごりブラックなヤツです。
この業界には、「好き」になれる要素がありますが。
かなり向き不向きを分けるでしょう。
僕が今もこうしてScientistをやれている理由は。
①実感として、そもそも研究という"仕事"をこなす能力に、絶対の自信がある
(勿論思うけど、世界で何かを成し遂げるのは、こういう奴じゃないヤツ)
②面倒で、こわーい誰かが論破してきても何も思わない
(僕の理解だと、論破なんてお互いに無限論破返しできるから無意味)
③やっぱり、人間関係に恵まれてる。これからも増えてくと思う
(一緒に話して働いて気分いい仲間が世界中に居て、いつも助け合ってる)
④作家志望だったっていう過去は強い武器
(僕より、人の心を考慮して研究書類かける同期はちょっといない)
⑤サラブレッド社畜
(ウチは父母共に、午前3時帰宅6時出社とかするアホ。僕も無限労働編できる)
⑥基本的には楽観主義
(いうても、僕の今のポスドク契約、来年までだからその後は知らんww)
あたりだと思います。比較的、この業界内ではダメージを受けにくく、楽しさも得にくい感じです。なんだか書いていて思ったのは、僕って人間関係に凄く恵まれてて、まあ僕は性格悪いんで彼らが居たからやって来れたなんて思いませんが、なんにしても仲間とか、友達とか、家族、恋人ってのは、大事です。大学研究職は孤独になりがちな職ですから、心の休所は尚更、大事です。
まあ僕の場合、この仕事での
全体的なダメージとしては、①やっぱ陰キャなんでたまにコミュ力燃え尽きる。②ボスのマネジメントを理解できるようにしてるし、僕自身がなんも拘りないかが妥協点見つけやすいけど、自分とボスのマネジメントのタイムスケジュールがズレで詰みかける時は流石に滅入る。③時折、人生がタイムアタック化して疲れる。
全体的な楽しさとしては、①サイエンスは興味ないけど、実験結果とか情報を組み合わせて論文化してくのはパズルとかナンプレみたいで楽しいかも。解けるし。②(今は)高給取り。③海外って案外たのしいんだな。④多種多様な色んな人と、あれこれ色んな話するのは愉快だよね(コミュエネルギー切れるまでは)
こんな所でしょうか。
最後にね。
何が誰の参考になるかは分かりませんが、人生ってやつは思っている以上に自由です。なにか新しく大切なものや幸せのカタチを見付けたら、途中で方向転換したっていいんです。無駄なことなんて一つもない。回り道なんて一つもない。その過程含めて、全部が今、向かってるその幸せを見付けて、向かおうとした心意気全ての糧になっているんです。
自分の足で歩いた、その道が、人生なんだぜ。
ーー以上、現役の大学研究職(ポスドク)からお届けしました。
<人生観とか考えた経歴>
0. 高校二年、Web作家として賞を取り、大学受験は適当に済ますことを決意
-> 苦手な英語はもう神に祈る、代償に高校科学系の理解を高める
1. 大学進学は、心理学か生物学か悩むも、生物系の大学に進学(レベルは普通?)
2. 仮面大学生みたいな感じで、作家を目指して頑張る
-> 洋書も読みたかったので英語リーディング(のみ)を極める
3. 結局、他大の友達の大学で心理学受けまくる
4. 作家.. 向いてないな(才能もだけど、精神的に)
-> まあ人生経験詰んだら、なんか変わると期待しよう
5. 研究室配属開始
-> ラボの妖精さんとなる
-> 心理学と脳科学がなんか面白く配合し始める
-> あるコミュ力お化けと出会い、解析しはじめる
6. 研究ってパズルみたいだなぁ
-> 別のコミュ力お化けと出会う、サンプル数=2になって解析制度あがる
7. アル中として覚醒になる
8. なんか酔った勢いでダル絡りしたら、大御所の先生だった!!!
9. 面接するから来いと言われたものの拒否
ボスに「才能あるんだから帝王学学んでこい」と乗せられる
大御所の先生の大学の場所が、好きな小説の舞台の近くと発覚
10. 初の海外旅行へ(面接)
-> 海外って楽しいんだ!
11. クソ英語で凄い顔されるも、ラボメンやボスと仲良くなって飯食べたり観光したり
-> メールを英語科の友達に書いてもらっていたことがバレるww
12. 面接に合格
13. 初の論文投稿は時間差で爆死。時間の問題で、あまり精神不健康に。
14. ボスが助けてくれる
15. 晴れて留学に。
16. 英語できなすぎてリアルで死にかけるも、みんなの助けを経て今へ。
僕は、過去に英語を何回か捨ててて(過去記事参照)、それで留学苦労したけど、あそこで英語捨ててなかったら僕はそもそも目的の高校や大学に入学できなかったわけです(今だから思うけど僕の英語苦手は受験勉強程度で解消できるものじゃなかった)。
僕は作家を目指して爆死しましたが、作家を目指してたから、留学先に面接行ってもいいかなと思ったわけで(聖地巡礼)、クソ英語だったけど、僕がラボで出会った人達は、僕に「コミュ力がなんたるか」と「如何に英語が喋らない状態で、外国人女性といいムードを作るか」を教えてくれていたので、僕は瞬間的に高いコミュ力を発揮して、クソ英語って問題を斜め右下から克服したわけです。
その後は、色んな人が助けてくたけど。まあ助けてくれたのは、優しさだったり、打算だったり、友情からだったり、でもどんな理由でも僕はそれを凄い感謝して、独りよがりで個人主義だった自分から、人間的にものすごく成長できて今に至ったのでした。