現役の理系研究者::ぼくはPhD.KKK

フェローシップ(助成金)獲得で、国内のブラック研究室から解き放たれた生粋のアル中研究者。生命科学専攻。ゆるーくポップに分かりやすく、をモットーに「医科・生物学の話題」と「摩訶不思議な研究職ライフ」を発信します!英語力0からの留学経験に基づく「初心者向け」英語学習テクもあるよー٩( ᐛ )و

【簡単!サイエンス】 新型コロナウイルスの予防ワクチン:前編

*【注意】はじめに、誤解のないように。
本記事は、ワクチン治療そのものの良し悪しを述べるものではありません

今、世界は凄い勢いで新型コロナウイルスの対策を進めており、今後「ワクチン治療」というキーワードに触れる機会も増えてくるでしょう。そこで本記事は、新型コロナウイルス、ワクチン技術それ自体の生物学的な理解(原理の理解)の補助を目的としています。

またいつものようにポップな演出で書きますが、気軽に、理解しやすくするための工夫ですのでご了承下さい。僕は真剣です。真剣に広い理解を目指しているので、重々しい書き方をしたくないのです。ご気分を悪くした方はすみません。連絡を頂ければ、即時修正または削除します。

(治療・医療関連の良さそうなサイトを探索中:随時追加します)

 

 <目次>

 1. 結局なんなの、"新型"コロナウイルス? ←今回のお話

 2. 生物学:ワクチンによるウイルス撃退基礎理論

 

知らないって不安。ぼくたちはどうなるの?
現役の生物学研究者が、ゆるーく分かりやすく説明します。

(*情報元は全て、英語の学術論文オリジナルを使ってます)

 

1. 結局なんなの、"新型"コロナウイルス

 

今更だけど、新型コロナウイルスって何なん。そんなものはない、ただの風邪って言う人いうけど結局どっちよ。。

正解は「新型コロナウイルス風邪ではない」です。

そもそもぼくたちはどうして風邪をひくのでしょう?

実はウイルスというのは世界中に常に飛び回っています。そのウイルスがぼくらの体に入った時、ぼくらの体はそれを撃退しようと、内側の抵抗力を増加させます(免疫反応)――なんて言うと難しいので、イメージを書いてみます。

 体内の自宅警備員A:なんか変なヤツおらん?
 体内の自宅警備員B:通報しましたww
 体内の自宅警備員C:通報しましたww

 専門の暗殺者A:切り捨てごめん
 専門の暗殺者B:天誅にござる

 体内の自宅警備員A/B/C:ツエーーーーー

と言った形で、ばったばったとウイルスたちを倒していきます。無双状態です。また時間が経つと体内では、①その侵入ウイルスが指名手配されり、②執行人が増員されたり、③その執行人が働きやすいように環境が整えられたり、となるわけです。

体は温かい方が活性化するので微熱がでますし、体中のウイルスを物理的に外に出すために咳をしたり、鼻水がでたりします。つまるところ、無限増殖編のウイルスと、それをやっつけるウイルス滅隊の熱い戦いが体内では起こっているわけですね。是非とも、ぼくらの体力が底尽きる前に、打ち勝って欲しいところです。

さてここで。

コロナウイルスは一般的に、かぜ症候群(cold syndrom)、を引き起こすウイルスとして知られています。ちなみに、インフルエンザウイルスが引き起こす病気は――分かりますね、インフルエンザ(flu)です。

今ぼくらを煩わせる”新型”コロナウイルスは、コロナウイルスの仲間であるわけですが、ある特定の特徴を持つ一つの集団です。

霊長類の中の「チンパンジー
鬼の中の「上弦の鬼」
人類の中の「ぼくみたいな根暗陰キャ

分類には名前が付くものです。

新型コロナウイルスは、コロナウイルスの中のSARS-CoV-2」です。そして、SARS-CoV-2というウイルスが引き起こす病名には「COVID-19」という名前が正式についています。なので、新型コロナウイルスが感染したことで起こる病気は、風邪、ではなくCOVID-19です。日本名はありません。

この鬼、、じゃなかった。SARS-CoV-19は、じゃあ何が他のコロナウイルスと違うのか。

ぼくみたいな「サラブレッド根暗陰キャ」だと、だいたい
 1. 飲み会に誘っても来ない
 2. Web上だと急にイキりだす
 3. だいたいVtuber好き。神楽めあ大好き
みたいな特徴があると思います|・ω・*)チラ。

それと同じようにSARS-CoV-2にも特徴があります。この定義付はまだ完成していないようですが「①高い致死性」「②他動物ではなく、人間への高い感染力」になりそう。「①高い致死性」については、細胞核への移動能力に起因するらしいです。まあ簡単にいうと同化現象ですかね(なんのアニメかな。今更だけど2期観たいなあ)。ウイルス専門の必殺仕事人も、体内を一人ふらふらーとしてるのではなく、ぼく自身、細胞の一つのなかに侵入・同化されると手出ししにくいわけです。

ちなみに、この新型コロナウイルスを定義する特徴、ウイルスたちが持っている遺伝子の変化で決まってます。11個のタイプがとりえずSARS-CoV-2となる原因候補として提案されている模様。是非とも、根暗陰キャを作ってしまうぼくの遺伝子変化も見つけて欲しい。そして治して欲しい。。

 

SARS-CoV-2の遺伝学的な見解は、以下の論文からの概説になります。(2020年6月30日公開 from PNAS-インパクトファクター9.3。2021年2月1日現在:引用数67 by Google Scholar)

www.pnas.org

まとめ

 

ぼくが人類の中の新人類「根暗陰キャ」であるのと同様に、新型コロナウイルスは、コロナウイルスの中の新種「SARS-CoV-2」です。

ぼくがこの記事を書いたりしてネットで調子付いて炎上することを「ざまぁ」というように、SARS-CoV-2が体内で好き勝手してる状態を「COVID-19」というわけです。

ぼくが「根暗陰キャ」になってしまった原因の遺伝子異常は未ださっぱりですが(遺伝子のせいにしたい所ですが。全部)、普通のコロナウイルスが「SARS-CoV-2」になってしまうウイルス側の遺伝子変化は分かりつつあると。。

 

最後に、ちょっと真面目なお話

 

風邪やCOVID-19に限った話ではないですが、体の免疫力というのは、年齢と共に低下してしまいます。そのために、体内の「ウイルス vs ぼくの免疫力」の戦いは、高齢になればなるほど”厳しい”ものとなってしまいます。現実的な話として、COVID-19の死亡率は、50歳未満で1%未満、70歳台で16.9%、80歳以上で24.4%です。

 *集計データは2020年6月時点のもの、また日本人のものではないので、昨今の日本状況とは差があります。

ぼくはまだ若い層でありますが、友達100人感染したら(そんなにいないけど)、1人は死ぬかもしれないということです。集中治療室で辛い思いをする確率はもっと高い。10倍くらい高い。この確率を高いと見るか、低いと見るかは、自分やご家族を踏まえて慎重に考えてほしいです。

 

年齢別の重症化の引用は以下からとなります。(2020年6月52日公開 from Infect Chemother-インパクトファクター1.7。2021年2月1日現在:引用数55 by Google Scholar)
2つ目の引用は論文ではありませんが、入院率・集中治療率・死亡率のわかりやすい統計グラフが合ったので載せておきました。

www.icjournal.org

www.taconic.com

ただこれは今、国内で主に流行している、通常の新型コロナウイルスについてです。現在、特に南アフリカとイギリス周辺国では、新型コロナウイルスの変異種(どんどん話がややこしくなる)がかなり危険視されています。日本はそこの意識がちょっと一般層まで広がっていないような気がして、心配しています。

南アフリカ型変異の新型コロナウイルス:名称「SARS-CoV-2 501.V2
・イギリス型変異の新型コロナウイルス:名称「SARS-CoV-2 B.1.1.7

これらの変異型については、最近台頭してきたばかりなので確信的なことはまだ言えないでしょう。ただし、これまでも述べたようにコロナウイルスの変異と進化は、遺伝子によって決まっています。つまりそのウイルスの遺伝子情報がわかれば、ある程度予測がつくわけです。

例えば(ちょっと誇張しますが)、「お、ココは足についての遺伝子だな。ここがこう変わると、、最終的にはこういう足になるはずだから――」というわけです。そして、変異型がどう遺伝子が変わったかは、すでにある程度判明しています。

実際はどうなるのか、どう対処するべきか。
それを明らかにするにはもう少し時間がかかるでしょう。

しかし、南アフリカ型変異「SARS-CoV-2 501.V2」は若齢層での重症化も引き起こすのではないか、と考えられています。イギリス変異「SARS-CoV-2 B.1.1.7」は通常型と比べて1.7倍の感染力であることが現在分かっています。

1.7倍、と聞くと大したことがなさそうにですので少し例を。ぼくたちが通常のコロナウイルスに感染して、誰か2人に感染させてしまう場合。そうしてコロナウイルスが広がっていく時、ぼくらはどうなってしまうのか。

f:id:PhD-KKK:20210201142457p:plain

<四次感染者までの計算>
 ・通常型:
  1⇒2⇒4⇒8⇒16
 ・イギリス B1.1.7型:
  1⇒3.4⇒11.56⇒19.65⇒66.81

感染者は指数関数的に増加し、最後には通常型の新型コロナウイルスはいなくなって、すべて変異型に置き換わるでしょう。そしたら今度は、その凶悪な変異新型コロナウイルスから、また新しい変異種が生まれることなるかもしれません。

ワクチン治療をはじめとした医療技術の革新による早期終息を心から祈っています。ぼくらたちに出来ることは、備えながら、その日を待つことだけです。軽い運動をしてください、栄養に気を遣ってください。健康な生活習慣に裏打ちされた免疫力は、きっとあなたを守ってくれる。

Stay Safe

今一度、安全にお過ごし下さい。
辛いのは分かります、それでも命にやり直しはありません。

 

明日は、ワクチン治療の基本知識とSARS-CoV-2への利用についてお話するよー。

 

ではでは。


新型コロナウイルスの変異種についての専門家の見解はこちら。メディアの先行した報道であることにご注意下さい。彼らの見解が正しいのか、その実情についてはまだ解析中であると思われるので、最新の学術論文が公開されるのをお待ち下さい。そのときには、内容を吟味して、文章とリンクを書き換える予定です。

www.the-scientist.com

www.bbc.com