現役の理系研究者::ぼくはPhD.KKK

フェローシップ(助成金)獲得で、国内のブラック研究室から解き放たれた生粋のアル中研究者。生命科学専攻。ゆるーくポップに分かりやすく、をモットーに「医科・生物学の話題」と「摩訶不思議な研究職ライフ」を発信します!英語力0からの留学経験に基づく「初心者向け」英語学習テクもあるよー٩( ᐛ )و

【簡単!サイエンス】 コロナワクチンって安全なの?:番外編①「有効性」

*【注意】はじめに、誤解のないように。


本記事は、ワクチン治療そのものの良し悪しを述べるものではありません
今、世界は凄い勢いで新型コロナウイルスの対策を進めており、今後「ワクチン治療」というキーワードに触れる機会も増えてくるでしょう。そこで本記事シリーズは、新型コロナウイルス、ワクチン技術それ自体の生物学的な情報理解の補助を目的としています。

「変異型ってなんぞ?」前編https://phd-kkk.hatenablog.com/entry/2021/02/01/144436:「mRNAワクチンってなんぞ?」後編https://phd-kkk.hatenablog.com/entry/2021/02/02/183848

そして、本記事(番外編)は、mRNAワクチンについて、しっかりオリジナルの情報源を確認したいという人の「英語・生物学」補助を目的としていますので、ご了承下さい。あと今日は、敬語はなしでいくよー。ポップも控えめ

 

 <目次>
 0-1.前置き:一人の理系研究者として。
 0-2.前置き:そもそもの間違いの注意喚起。

 1. 現役の理系研究者のひとりごと① 有効性と副作用(軽度) ←今回のお話

 2. 現役の理系研究者のひとりごと② 副作用(重度)と変異型

 

知らないって不安。ぼくたちはどうなるの?
現役の生物学研究者が、ゆるーくポップに説明します。

(*情報元は全て、英語の学術論文オリジナルを使ってます)


 

0-1. 前置き:一人の理系研究者として。

 

*研究者またはそれを目指す方以外は、0-1.を読み飛ばして頂けると幸いです

情報弱者って、言葉がある。たしかに通信技術や政治・経済、生活ノウハウは凄い勢いで刷新されて、置いていかれたぼくらは、知る間もなく損をしていく。そんな恐ろしい、ある種の搾取が跋扈する大情報時代が現代なんだろうね。

ぼくはさ、新型コロナウイルスの時代の中で【生物科学系の情報弱者っていうものを考えてる。分からないって怖いことだから――それを誰かが煽って先導して、それが誰かのココロを踏みにじるのが、ぼくは悔しくなった。ぼくら研究者のさ、あの過労死寸前の毎日が、そんな使われ方をするのってやるせないじゃない。

そんなのってあんまりじゃないか。

ぼくは、それでも理解しようと、一歩を踏み出す誰かを応援したい。ぼくは結論を示さないよ。「ワクチンはずばり○○だ」なんて絶対言わない――ごめんねって思うけど、自分で見て知るしかないじゃない。ぼくは、このコロナ禍で日本メディアが嫌いになった。そして、ぼくがこうして話すことで、もっと多くの研究者に情報発信の場に出てきて欲しい。

生物科学系の情報弱者、それって俺たちに責任あんだろ。なあ。
研究業界の未来に、幸あれ。

 

0-2. 前置き:そもそもの間違いの注意喚起

 

はじめに少し、間違いを訂正。ワクチンが副作用あるとか、そういう話ってちょっとズレてる。だって元より全ての薬は、全部だれかで深刻な副作用を生んでるから。薬に限らず、何にだってリスクはあって、決断には何か結果が付いてくる。当然のことなんだけど、きっぱり言っておきたいんだよね。ぼくらは常に「何かを選んでる」し、同時に「何かを選ばない、ってことを選んでる」どっちでも相応のリスクを払ってるよ、いつも。「やらない・動かない」は無リスクなんてご都合主義の幻想、もう捨てない?――だから言うけど、詰まる所さ。

 

「ワクチンを打つ」って決断して、そのリスクを取るのか、
「ワクチンを打たない」って決断して、そのリスクを取るのか。

 

あなたはどっちがお好き?

そういう話――まあ今更だけど。
ぼくは自分が決断するために、その実測値を見に来たわけ

 

1. 現役の理系研究者のひとりごと。有効性と副作用(軽度)

 (2020年12月10日公開 from N Engl J Med.-インパクトファクター74.7。2021年2月1日現在:引用数276 by Google Scholar)

www.ncbi.nlm.nih.govあるいはこっち、同じものhttps://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2034577)

 

「自分で読んで、みんな、自分で決めて欲しい」学術論文って難しいイメージあるけど、一応さ、我らがGoogle大先生での全翻訳もやってみたけど、だいたい全容を把握できそう。だから、ちょっと分かりにくいけど、Web本文そのまま上から読んでくよ。ブラウザ2画面開いて一緒に読もう。その方が読解の助けになるし、生物学の知識もフォローしやすいと思うのよ。というかさ、読んでよ。お願いだよ。


閑話休題。れっつらごー。

 

まず論文タイトルは「COVID-19用のmRNAワクチン”BNT162b2”の安全性と有効性」だね。これがファイザーのmRNAワクチンの名前。

Abstract(要約)とIntroduction(研究理由・背景)はとりま飛ばしで。Method(方法論)は逐次確認ってことで、Result(結果)まで行きましょう。

 

「Participants:試験参加者」

試験としての規模は最終的に42448人。mRNAワクチン投与者は21720人と、その比較として「mRNAワクチンを投与する」と言って実際にはワクチンを投与していない者(プラセボ)が21728人。いつだって研究は対照実験:「なんかした集団」と「なんもしてない集団」を比べてジャッジする。両方の集団を合わせた2万+2万人の規模で試験モニターを開始。ワクチン投与後2ヶ月の安全性をモニターしたって書いてある。でも、気になってMethodの「安全性」の項目見ると、調子悪い人の副作用の判定のため、彼らは投与から6ヶ月後まで観察したっぽい(これだからメディアは信用ならない)――でもちょっと意外。もっと短いと思ってた。

てか参加者どう決めてんだろ――またMethodの項目へ脱線。参加者は、結構幅広く集めていそう。募集条件緩い。ぼく喘息持ちだけど、この基準だったらぼくみたいな人も検証に参加してるな、たぶん。若齢から高齢まで集めてるのも良さげポイント。

もどって、「Participants」を読んでくと、試験参加者の人種分布が書いてる。日本人は記載なし。そりゃそうか。でも、Table 1を見ると参加者にアジア人の記載があるね。。。まあ、全体の4%だけど。全1600人くらい。少ない。他のところ流し読みしてたら「人種間の差はない」って書いてあったけど、アジア人は数が少ないからちょっとまだ断定できないかも――まあ仕方ないよね、これは。ファイザーって日本の会社じゃないし。負けるなっ日本の製薬業界!

てか、参加者のMedian(平均みたいなもん)年齢は52歳で結構高め。ちなみに先にカンニングして、ワクチン有効性の最初の実測値がTable 3にあるんだけど、これ75歳以上の欄あるから、かなーり高齢の人も入れてるみたい。65歳以上の人もそれなり参加してる(3848+774人)のは個人的に安心。ぼくパパ65歳だし。

 

余談**「てかてか、このあたりは日本国内に導入する前に、日本の様式で再試験してるはずだから、そっちの結果を参照したいところだなあ。というか今更ながらそっちの結果むしろ見たいな。まだ試験中だから公開してないだろうけど――というか、新型コロナウイルスみたいなこういう状況のときって情報公開どうなるんだろう。いつも通りされるよね??政府主導とかで少し変わったりするのかな?政府主導で円滑に試験進むのは助かるけど。 」**

 

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ここまでの復習。ちなみに、答えは、Figure 3にあるよ!

 閑話休題。Resultに戻りましょ。

次の項目は「Safety:安全性」――これは、まだいいや。その前に、そもそも有効か否か知りたいもん。ここは一旦とばしちゃう。見て、良さそうなら戻ってくるよ。ばいばい。期待はしてるけど。


「Efficacy:有効性」

さて。まずは2回目の投与から7日後の結果――てかどういうワクチン投与方法なんだっけ。上のMethodへ戻る。21日間隔で2回って記載。ってことは2回目投与から7日後は、ワクチンの最初の投与から28日後ってことね。で、Restutの「Efficacy」戻ってきて、と。最初のワクチン投与からトータル28日後までに、それぞれの集団(ワクチン投与 or 非投与)から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症した人が何人出たか調べたっぽい。全試験参加者、43448人のなかで170人がCOVID-19発症したらしい。とりま結果として、全体43448人中の170人=0.004%が、COVID-19罹患という状況か。

ここからワクチン投与者と非投与者の割合を比較していく。じゃあ内訳。ワクチン投与者は8人、プラセボは162人といった具合。つまり、通常の人たち(ワクチン非投与=プラセボ)では、この28日間に、感染者162/全体21728=確率0.0075%でCOVID-19に罹患する計算。で、ワクチン投与者の場合、感染者8/全体21720=0.0003%の確率でCOVID-19を罹患。ふむ。。。すげーな。文字通り桁違いだ。母数はどっちも2万人くらい。それが1ヶ月後には、ワクチン投与ないと、162人新型コロナウイルス感染して、ワクチン投与すると8人だけ新型コロナウイルス感染したってこと。ぱねぇ。

てかそもそも、ワクチン非投与群のさ、1ヶ月で、感染者162/全体21728=罹患率0.0075%――これって試験した場所・年時の新型コロナウイルスの環境的には妥当だったのか?まあ今はいいか。それよりCOVID-19の罹患ってどうジャッジしてんの?Methodへ戻るか .. ん?書いてなくね? .. ああ個別で書いてないだけか。Method「Efficacy」でまとめて書いてあるわ「serologic or virologic evidence」って結構微妙な書き方だな。。抗原検査とPCR検査でしょ、だぶん。なんで"or"なん。どっちなんよ――まあPCRの方が感度良い代わりに大変だからな、たぶん、抗原検査をメインで、場合によってPCRもって感じだろ、知らんけど。まあここはどっちでもいいや。

 

とりま、mRNAワクチンを接種すると、トータルとして162:8で、25倍、新型コロナウイルス感染者の最終数が減るのか、あくまで集団としてみた時だけど。しかし、研究者はなんだかんだ言って有意差絶対主義。効果の規模よりも、効果がどれくらい再現できるのかが重要なのだ。つまり、ぼくやぼくの大切な人が投与した時、効果がある場合とない場合、それは何%なのか、という話だ。実際の数値はFigure3か――Placebo=非投与が青で、BNT162b2=ワクチンが赤と。

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。。まじかよ、全然、赤のグラフの「新規の新型コロナウイルス感染者」全然増えてねえじゃねえか。横軸は1回目ワクチン投与からの日数だから、モニター期間は投与後120日.. 4ヶ月。めっちゃ効いてんじゃん。少なくとも4ヶ月は新型コロナウイルス感染者増加しない=ワクチンによるウイルス抵抗性を維持できてるって線が妥当かな。もっと先の日数知りたいな。後で別のデータ調べよう!

じゃなくて、統計を見たいのよ、わっちは。びびって忘れてた。統計学的な信頼区間では、94.8%(p<0.05)となってるのか。つまり100人投与したら94.8人は、効果があると。ただあれだな、Figure 3での比較は 「>7 days after dose 2」ってなってるから、1回目のワクチン投与から7日間の結果は除外してるな。これ、たぶん、1回目のワクチン投与から7日以内はまで、ワクチン効果発揮してなかったんだろうな――そういう解釈にしたのか、抗体産生量とか根拠あるのか分からんが。兎にも角にも、めっちゃ効いてんじゃん、Figure3はやばい

 

つぎはResultの「Safety」に戻ろうか。

――まあ何回でも言うけど、全ての薬は、確率的に、誰かに深刻な副作用を生む。それは仕方ない。どんな薬も世界人口70億人に打ったら、たぶん誰か死ぬ。ぼくとぼくパパは、自己免疫系の遺伝子異常ありそうだし、たぶん副作用も出やすいだろうなあ。別に根拠ないけど、ぼくはそう思うからぼくはそう信じて考える。自分のことだし。兎に角「Safety:安全性」ここは慎重に読みたいよね。

 

*その前に、ここから出てくる「Reactogenicity:反応性」は正確には副作用じゃない。非専門の人の理解だと、「副作用:軽度」でも一応あってるけどちゃんと補足したい。これは例えるなら「筋トレのマシーンを買って、筋トレして、筋肉痛になった」ってこと。これは副作用とは言わない、当然じゃない?筋トレして筋肉痛にならんかったら逆に問題じゃん。Reactogenicity:反応性は、原理的に普通は体の反応。

 

*明日やる「ADVERSE EVENTS:有害事象」は、予期せぬ異常全部。たぶん副作用を含むけど、副作用以外も多分に含む。同じ例えだと「筋トレのマシーンを買って、筋トレして、捻挫した、筋肉断絶した、下痢になった、風邪引いた、視力上がった落ちた、学校成績上がった落ちた、血液検査の数値が微妙に変わった、なんか疲れた」が全部入ってる。予期せぬなら全部入るし、血液検査でモニターするなら、前日に彼女に振られて暴飲暴食したら入ってる。そんなものの総称。因果関係は考慮しない。だから、ワクチン投与者 v.s. ワクチン非投与で比べます。まあワクチン投与で「彼女に振られる」って副作用あったら混沌化するけど。。

とにかく、
Reactogenicity:反応性(間違ってるけど、軽度副作用)、が下の話題。

 

「Safety:Local Reactogenicity」

とりあえず注射打った所が結構痛くなるっぽい(1%未満で1-2日間だけっぽい)。これはいいや、痛いくらい。寝てればいいや。次行こ。

 

「Safety:Systemic Reactogenicity」

そこそこ倦怠感と、頭痛が出るっぽいなあ(50%前後か)。てか倦怠感と頭痛って数値化できないから嫌だよね、どのくらいなんだろう――まあこのあたりの言葉マジックっていっぱいあるけど。発熱とか、軽症とか。どうでもいいけど、日本メディアの報道は、たぶんCOVID-19の軽症に「中等症」が混ざってる。中等症は入院レベル。インフルエンザでも入院しないぼくらが入院しないとなレベル=かなり辛い。中等症分けて報道して欲しい。

――脱線から復旧!

てか発熱もあるのか――発熱の定義:38度以上なんだけど。発熱率は、若者16%で高齢11%で、高齢者は逆にこれ出にくいのか――やっぱりワクチン投与による免疫の活性化による発熱だろうな(詳しくは、本記事シリーズの前編)。年取ると免疫活性が落ちるから、ワクチン投与してからの免疫活性化も少ない=熱とか出にくい、かな。人によってはワクチン投与後は一応、有給とれるようにしなきゃね。納期近い人は注意。40℃出た人もいるのか、まあ1%以下だけど――あ、でも、解熱鎮痛剤使ってるな。薬として、解熱鎮痛剤を併用できるならまあいいかや。寝てればいいよ。でもワクチンやるときは、どの解熱鎮痛剤がいいか調べとこう。。

 

 

「ADVERSE EVENTS:=副作(合算)

さて、一番みたい項目来たぜ。

 

。。いやでも。

 

もう結構長いからココで一回切ろうかな (^^;

前半は「有効性」と「副作用(軽度)」まで。
後半に「副作用(合算)」って感じで。

 

め、めっちゃ疲れた。

 

じゃあ、続きは明日の22時に!
Twitterでも告知するよ。

 

ではではー。

 

 

*ちなみに復習用*

phd-kkk.hatenablog.com

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