現役の理系研究者::ぼくはPhD.KKK

フェローシップ(助成金)獲得で、国内のブラック研究室から解き放たれた生粋のアル中研究者。生命科学専攻。ゆるーくポップに分かりやすく、をモットーに「医科・生物学の話題」と「摩訶不思議な研究職ライフ」を発信します!英語力0からの留学経験に基づく「初心者向け」英語学習テクもあるよー٩( ᐛ )و

【ライフ】研究者レベル測定:H-index & Altmetrics 徹底解説

日本の研究者さん達は、「今」に懸命です。でもだから、将来への勉強が少し蔑ろになってないでしょうか?世界はすでに「Impact factor」よりも、「H-index」や 「Altmetrics」を評価基準として採用する傾向にあります。

今から危機感を煽ります。H-index対策立てずに、今のストラテジーで論文を書いていたら、将来その論文は死蔵し、評価基準に入らないかもしれません。またぼくの理解では、日本で「Altmetrics」が重要視される時代は近いでしょう。理由は、少子化で大学運営が厳しくなっているからです (以下で説明してます)

今回は一般層でも理解できるように、ゆるーく解説。研究者の皆さんは、今から対策しておきましょう。それは将来必ず役に立ちます、だって周囲を見て下さい――みんなまだ対策してませんよね?先に始めたほうが圧倒的有利なのは何事も同じですから。

 

「研究者選び」の記事から飛んで来た人は、以下の目次から【簡単調査:H-index測定】に飛びましょう!

 

<目次>

 

H-index, Altmetricsってなに?

 

いきなりですが、漫画「ドラゴンボール」は好きですか?「ほっほ、私の戦闘力は53万です」なんて名言があるのですが。。

H-indexやAltmetricsは、研究者のレベル表記です。戦闘力です。あの研究者って、学会発表してるけど、テレビ出てるけど、レベルの高い研究者なの?それが一撃で分かってしまいます。「いやいや、そんなことないでしょ笑」と言いたい気持ちも分かりますが、「優秀な研究者かどうか」を主観的ではなく、客観的にどう判断するのでしょう?――そうです、そんな基準はない。難しいです。

 

ただその客観的な研究者レベル計算が
業績の総引用数であり、
個人のH-indexであり、
論文のAltmetricsです

 

誰がなんと言おうと、客観視として、研究者レベルは H-index で表現できます。次点で、保有論文の引用数や、Altmetricsです。今もあなたが「古典的な Impact factor 完全主義」か「論文数絶対主義」ならば、将来、足元を掬われる可能性があります。マルチなデータ解析が可能になった現在では、学術誌毎の引用数Impact factorなんていらないんですもう個人、個々論文でそれが出来てしまう時代なんです。

 

気付いてますか?すでに最近の公募では「論文引用数」を書かされる機会が増えてますよね。評価基準が変わっていきます。ぼくたちは気をつけなきゃなりません。事実、論文数主義の前ラボで、「ぼくはそこそこのIFで論文を出しましたが、ぼくのH-indexは上がってません」。死蔵なうです。

 

**一般層向けに、「Impact factor」解説**
研究者は国際学術雑誌に論文を投稿しますが、この国際学術雑誌はいくつか種類があります。簡単に例えると、漫画雑誌も、ジャンプ、マガジン、サンデー、ヤンジャン、ガンガンなどがあるようなもんです。この国際学術雑誌は、各々に Impact factor というランク付けがされています。「ジャンプ=30点、ヤンジャン=15点、コロコロ=5点」のような感じです。たとえですよ??
なので、Impact factor が高い雑誌、格式の高い雑誌に掲載すると箔が付くわけです。「ジャンプに掲載?すげー」みたいな。トップ漫画家なら、ずっと、何作品もジャンプに掲載できるよね?みたいな。つまり、漫画家も、研究者も、究極は「出版社の奴隷」とも言えるわけです。ああ、ぼくらは Impact factorの奴隷ですよ。。はやく「でしたよ」にならんかなあ。。

 

海外フェローでは、H-indexを調べられますから、先に書いておくことが吉。このH-indexは若手研究者に適用しづらいという背景があるので、それを明記して「若手だからH-index低めよ、ごめんちょ」と断っておくのが良いかも知れません。

 

ちなみに、
H-indexが「業界内地位(レベル)」であるなら、
Altmetricsは「社会的地位(レベル)」となります

 

厳密には、Altmetricsは論文毎に採点されるので、個人に付くわけではないのですが。。最重要なことは、 Impact factor の高い論文を書けば、H-index や Altmetrics が上がるわけではない、ということです。ある意味、ぼくらにとっては救済的な変化でしょう

 

H-index対策の必要性

 

ここではざっくり解説。

H-indexは、個々の論文の引用数に基づいている計算式です。Twitter的にはリツイート数です。つまり、どんなに Impact factorが高い論文を出しても、引用されなければ、あなたの客観的な研究者レベルは一切変動しないということです。逆に、Impact factorの低い論文でも、引用されれば、あなたの研究者レベルは上がるということです。

あなたの論文、自己満足、自己達成感の満載になってませんか?自分の所属する分野の研究者が求める論文構築になってますか?同分野研究者が求めていた「そうそう、そういうアイディアの一翼を研究背景で探してた!」部分を、分かりやすく目立つように執筆してますかそれをAbstractで強調していますか

 

今、論文執筆には、マーケティングとライティング力が求められています。情報が有象無象に溢れている時代だから、いいデータだけじゃ足りなくなってます。誰にも見られない = 研究業界に貢献度はない。その基準で個人が、個々論文が解析可能なビッグデータの時代になってます

 

同じ結果、同じ学術誌でも、引用数は、天と地ほど変わるでしょう。何を求められているのか、不完全でも、何に対して答えの可能性を示したのか――結果を羅列するだけで良い研究者時代は終わりつつあります。論文執筆の文章構成には、研究計画と同じくらい、それ以上に気を使って下さい。

それが、 H-indexオーバー80、正真正銘の怪物研究室で僕が学んだ重要ポイントです。あなたのライティング能力で、全く同じ論文が一回り、上のレベルになります。でもちょっと一度考えてほしいんです。

 

執筆で論文レベル上げるほうが、データで上を目指すよりも簡単じゃないですか?

 

ここを妥協してはいけません。分かってます、辛いです。でも未来にもっと辛くならないように今を頑張れませんか?

 

ノーベル賞: オートファジー大隅先生、iPS細胞の山中先生の H-indexはおよそ110です。関連分野である「基礎細胞生物学」で、満55歳の教授が H-index >80 であるというレベルの立ち位置です。アイツはマジもんバケモンだ。サイコパスだけど、たしかに留学の経験値はおいしい。。ビックラボは情報が豊富だし。

 

ちなみに、アメリカーンな友人の話として、アメリカの研究者雇用では、もう「論文数, H-index, Altmetrics」で一次審査されるようです。日本でも、業績欄で、論文引用数を求められる場合が増えてませんか?次は、Altmetricsを書かされるでしょう。なんせ、よく見ると学術誌の各論文ページに既に「Metrics」が表記されてますから。。そして後は H-index です。

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各学術誌がAltmetricsを重要視している証拠

 

あと、全然関係ない話ですが、日本でのPIの募集ってだいたい事務側で「最低論文数」って足切りがあって、論文数少ないと、事務レベルで通らないって知ってました?ぼくは去年知りました。この足切り基準が、H-indexに変わったときに、あなたは、ぼくと一緒に笑いませんか?

 

Altmetrics対策の必要性

 

Altmetricsは、ぼくら若手研究者にとって、もっと希望がある評価基準です。これは社会的貢献度に基づいています。つまり、外専門分野, 非専門層, 一般層にどれだけ影響力を持っているか、です。日本はまだしも、海外は既にこれをかなり重視します。フェローでこの、非専門層への知識普及戦略をだいたい訪ねられます。ちなみに、これSNSも基準に含まれてます。Twitterリツイートですよ。研究インフルエンサー度の数値なんです。

Altmetricsが高い論文を持っている、というのはImpact factorとは違った有用性があります。これは「幅広い層の興味を取れる研究者」であることの証明です。あくまで、これは僕の私見ですが、日本では「High Altmetrics」がNature級に重要視されるようになると思って僕は行動してます。そのために研究者用のTwiter本垢を育ててます。

 

日本の少子化が、僕らに与える深刻な問題。それは大学運営危機です。受験生が減れば、大学も現在の体制を維持することは困難でしょう。大学運営陣にとって、研究室というのはプロパガンダです。大学職員の雇用は次第に、この研究プロパガンダ効果を無視できなくなり、大きくなるでしょう。なぜなら、少子化して減少した学生達の取り合いが激化するからです。大学偏差値を上げなければ学生は来ない、けれど、受験生が少なければ競争が進まず偏差値は上がらない――負の連鎖です。

 

よって、これからは、適切に情報発信し、SNS運用し、学生を釣ってこれる研究者の需要が高まることになるでしょう。Altmetricsはその証明です。そして、重要なことはこの問題を真剣に対策している研究者がまだ少ないことです。チャンスです!。ぶっちゃけ、「同分野で日本一のAltmetricsを持ってます」は、同分野で国内一の業績がある、よりも遥かに簡単です。成功ブロガーがやれば、ノーベル賞研究者よりもAltmetricsを高くすることは造作もないでしょう。

 

それからブロガーついでに脱線話を一つ。大学のホームページ運用は、Google対策しなすぎです。受験生は「大学 生物学」などで、ぐぐるでしょう。しかし現状、トップページの殆どがGoogle検索対策(SEO対策)をしていません。実際にブログ運営のツールで調べると、Googleトップページに入る難易度は「易:難度8/100」です。

考えてみてほしいんです。

学生が「大学 生物学」で検索したら、難関大学HPや進学塾HPを差し置いて、あなたのラボHPが最初に出てくる瞬間を。。アクセス数が増えれば、受験生も増える、受験生が増えれば偏差値が上がる。仮にあなたが対した業績がなかったとして、出身が二流大学だとして、そんな人材を大学運営は蔑ろにするでしょうか?その未来は、あなたがNatureを出すのとどっちが簡単そうですか??

 

H-index, Altmetris対策.. というか共有しません?

 

え?具体的なH-index/Altmetrics対策方法?

H-indexは執筆のノウハウになるから長くなってしまう。。というか、現ボスも言ってますが、本文執筆ってレビュアー対策テクも入れるから凄く長くなってしまう。本文で選択されるレビュアーとコメントを操作して、ヤツは二周りくらいレベル上げます。ビッグラボにはビッグラボたる所以がある、というわけです。政治力だけじゃなかったんだなあ。。要望があれば、次回ってことで。

 

AltmetricsはSNS運用に成功したら一つの基盤になりますから、当面は、よくあるブロガー発信テクニックでTwitterアカウントを育てましょう。あと論文出すたびに、どうやったらAltmetrics反映されるのか調べてみるのも吉です。僕もまだここは調査中一つ言っておくと、「日本の研究.comニュースのツイートをバズらせたり、日経新聞に載せるだけじゃAltmetricsは変わりませんでした」。残念です。。

 

簡単調査:H-index測定

 

さて。。ちょっと、H-index検索して遊んでみませんか??笑
(非専門家向けの項目です!)

 

H-indexの計算は、「手計算」「アプリ:Publish or Perishを使う」などありますが、今回はとりわけ簡単にざっくり把握する「Publonsか、ResearchGateで検索する」をやっていきましょうか。

 

このサイト、Publonsは研究者情報登録バンクのようなもの、ResearchGateは研究者用SNSのようなものです。どっちかに研究者登録されていれば、検索すれば、H-indexも一撃で出ます。

今回はより登録者数が多いResearchGateを使って調べてみましょうか。なかったら、「アプリ:Publish or Perishを使う」を使うのがオススメですが、大情報発信時代の昨今、まあだいたいの研究者はResearchGateに生息しているはずです。。

www.researchgate.net

まずトップページがこちら。ここの検索バーから研究者名を「英語」で入力してみましょう。 

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そうすると、次に該当研究者一覧が出てきますので、名前の下グレーで記載された「所属」をキチンと確認しながら、目的の研究者かどうかチェックしましょう。

 

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最後に、研究者ページが出たら、OverviewになっているタブをScoresに変更しましょう。下の方に、h-index と記載されたところがあるのでここをチェックしたら完了です!どうです、簡単でしょう?これであなたが考えている志望先の研究室ボスを軒並み検索して遊んでみましょう。

 

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まとめ

 

いかがだってでしょう?

 

学生さんにとっては、研究室の教授がどのレベルで戦っているのか、興味のあるラボ間で比較すれば一目瞭然でしょう。研究者さんにとっては、H-indexやAltmetrics対策を考慮しなければいけないのでは?そんなことないか?と一度考えを深堀りするのに良い機会になったのではと思います。

 

生き方は人それぞれ。

 

ただ、いかなる形であれ一つのキッカケになれば、これほど嬉しいことはありません。

 

ではではー。