【ライフ】採択申請書・エントリーシートを書くために、”本当に”必要なこと②「研究申請書:実践編」
ぶっちゃけ「申請書の書き方」で検索出てくる情報ってパッとしない、ぼくのエントリーシート(ES)、研究助成はどうすればいいんだ.. 採択されなきゃダメなんだ!!
そんな疑問に、現役の理系研究者が回答します。
(↑前編.. 概要説明)
(↓以下、まず、おさらい)
こんにちわ、PhD. KKKです。
就活生にとってはエントリーシート
研究者にとっては研究申請書
いつ過去を振り返っても、ぼくたちの人生って「ライティング力」があればこそ、切り開けた未来は多いです。あるいは「ライティング力」があれば、あったかも知れない未来。もっと楽で、もっと色んな可能性があったはずです。
例えば..
猛烈に引き込まれるような研究申請書
泣くほど感銘するエントリーシート
.. あと絶対、きゅんとしちゃうラブレター
(↑これあれば、ぼくにもカノジョ..)
皆さん「内容で勝負!」って思ってるかもしれませんけど.. 事実としては何事も「内容×表現力」も判断されているわけです。良い内容も伝わらないかもしれないし、見せ方で微妙な内容も輝くかもしれない。
シンプルな事実として、ぼくらはAIじゃないので、論理的な判断をしようとしても、どうしても「感情や感覚」は判定基準に入ってきます。
だから
ライティング力=文章力
.. しっかりとした文章書けばいいんでしょ?
そう思っている人は結構"危ない"かも。
エントリーシートも研究申請書も「売り込み」です。
採択には誰かに好印象を持ってもらう必要があるわけです。
ぶっちゃけセールライティングって
心証操作のテクニックなんです
.. これが出来れば「同じ商品」でも、あなた"は"売れる。
知ってますか?
当時、Appleの初代iPhoneより、
優れていたスマホがあったんです
同じものでも"売れない"んです。
劣っていても"売れる"んです。
重要なことなので、聞いて下さい。
セールスライティングには"公式"があるのですが
あなたは幾つ使ってますか?
人の心に響く、好印象を与える"心証操作のテクニック"ってのは、その道の研究者に散々解析されています。過去、人を大きく動かした文章/プレゼン、そういった天才の産物を沢山の秀才が解析して、公式化してくれているわけです。あなたがもし、そういうライター業界の常識を全く知らないなら、
そうですね、
例えるなら
公式一個も知らずに、
数学受験するようなものです。
だって使ってる人は使ってますし、本人が意識しようがしまいが、採択された研究申請書/エントリーシートは少なからず"公式"に沿って作られています。
前回記事では、全ての書類は「心証」(内容ではない)で通過できるか決められているっていう結構ショッキングな内容をお話しました。それで本記事は、セールスライティングの実用編。特に、研究申請書の観点から解説していきます!
<具体的には>
・ゴールデンサークル
・ストーリーフォーミュラー
*要所に「ハロー効果/一貫性の法則/繰り返し表現 etc」などの他の心理効果(とりあえず学振書類を例にとって解説しますね).. まあ自分的にも、今後書く時の復習にしたいわけです
<目次>
先にざっくり結論
「研究の背景・目的」の部分で、
非採択申請書に入っていない重要要素は
❶あなたの信じるもの
❷あなたの歴史
❸論理性→主観への転換
❹???
有名公式①: ゴールデン・サークルとは?
これは"サイモン・シネック"という方が「イノベーターとして世界をリードできた人達の共有トーク構成」から生み出したセールス公式になります。以下図のようになりますが、簡単に言うと「WHY→HOW→WHAT」の順番に話すべき、というお話になります。
理由として、ざっくり言うと..
「物・商品」であるWHATから説明すると、脳は"論理的思考"になります。原理やものの情報を理解しようとするわけです。それから「何が良いか・いかに必要か」を説明して、"良さそう"という購入意欲を刺激したいわけですが..
これ脳科学的にはちょっと不可能なんです。
意思決定の脳回路はすでにある程度、明らかとされていて、ぶっちゃけ「論理的思考」って場所は、感情の後にあるんです。だから「論理的思考」に入るともう「感情」は刺激されません(以下図)。
つまり、最初に「WHY」を強調しなかったら、もう「感情」による加点は0のままです。
いいですか?
「感情50点+論理50点」で全てがジャッジされるのであれば「感情点」を逃した時点で、最大の採点数は50点となってしまって圧倒的に不利なわけです。
おそらくあなたの理解と真逆かもしれませんけど。。もちろん前回記事の通り、書類審査とは「感情 or 論理」だと「感情点」が重視されてます。
.. そんな馬鹿な!
と誰しもが思うと思うんです。でもこう、以下のように理由説明すると少しだけ納得できませんか?
「感情点」は、書類にあなたが書い全てのことへの信憑性・目標達成への信頼に直結するので、感情点が低いと、どんなに優れた論理を打ち出しても「信憑性」がないので低い点数処理されてしまいます。
ゴールデン・サークルの使い方解説
それでは次に具体的に、このゴールデン・サークルの基本要素「WHY・HOW・WHAT」の使用方法の解説に入りたいと思います!
<WHY>
これ、研究者の皆さんに一番、
気をつけてほしいところなのですが。
「WHY(なぜ?)」=研究目的、ではありません。
感情から研究必要性の納得を得るための
WHYは、理由、です。
ここで最も意識することは「あなたは何を信じているか」です。あなたの信じる「最高の未来」です。その究極的な未来と、現時点との乖離、を説明します。
そしてココが一番重要なのですが、この「研究背景」の部分に、もう一つの心理効果を加えます。「ストーリフォーミュラー」「一貫性の法則」「認知的不協和の解消」の組み合わせです。具体的に入れるべきポイントは、
①これまでも色々な挑戦があった
↓
②でも、実現していない
↓
③現時点はこれが限界
↓
④これじゃまだ究極的な未来じゃないだろ
(申請する解明・実現が前段階として"必要")
正直、ぼくが持っている沢山の申請書たち、Positive control, Negative controlを比較して気付いた一番大きな違いがココ「WHYの使い方」にあります。
超重要です。
「現状は〇〇である、しかし✗✗はまだ解明されていない」がNegative control(非採択申請書)の共通の書き方で、「△△が究極目標、現状は〇〇、だから✗✗の解明が必要」がPositive control(採択申請書)の共通の書き方です。
違いが分かりますか?
「解明されていない」はただ事実提示です。「解明が必要」は"あなたの信じるもの"です。この信じるものの価値を示すために、先にWHYとなる究極的な目標を示す必要があるんです。
研究背景が「事実提示」じゃなく
「あなたの信じるもの」になった時
あなたの研究申請書は、他でもない
「あなたのもの」として審査されます。
他のありふれた似たような申請書と一歩違う場所から審査されます。一般論から、自分(だけ)の研究への移行に失敗した研究申請書は採択されません。皆さんお馴染みの「独創的な点」で点数が取れないからです。
よく誤解されがちですが「研究における独創性」とは、オリジナリティでなく、アイデンティティです。同研究分野の中で、全ての先生は「自分の領域・立ち位置」を持っています。この領域、アイデンティティに基づいた新規アイディアが、もっとも簡単で分かりやすい、つまり評価されやすい「独創性」です。
だから.. 正直、自分の研究アイデアってそこまで独創的じゃない、なんて悩む必要はありません。素晴らしい独創的なアイディアが、ぽっと思いついたじゃ、信用されないわけです。ヒトは"ストーリーを重じる心理構造"の生き物なのです(*ストーリーフォーミュラーにて後述)。
だから結局のところ、
あなたの(ラボの)独自性が基盤となって見出した独創性でなければ、高評価を得ることはありません。あなたの申請書で、あなたの独自性を"感覚的に"直接理解させる方法が、「あなたの信じるもの」を入れることなんです。そのため、研究背景を一般論化しすぎると、申請書自体が一般論化されがちで、あなたのアイデアから「独創性」が見出されなくなってしまいます。
論理⇒主観、の転換が重要です
ちなみに、この"解明が必要"という部分を「所詮あなたの意見でしょ」と一蹴されないように、「①これまでも色々な挑戦があった」ことを明記しておく必要があるんです(←ここもストーリーフォーミュラーにて後述)。
一応、もう一度書きますね
①これまでも色々な挑戦があった
↓
②でも、実現していない
↓
③全時点はこれが限界
↓
④これじゃまだ究極的な未来じゃないだろ
(申請する解明・実現が前段階として"必要")
<HOW>/<WHAT>
正直、ここは研究申請書を書いている時点で、殆どいじれない場所だと思うので、あまり注意点はないです。この部分は、特定のノウハウよりも「WHY」から「ストーリーフォーミュラー」でつなげることが重要です。
そ
れ
で
次は「ストーリーフォーミュラー」について!結構長くなってきたので、こっちは分割で書きますね。。両方完成させて公開だと遅くなっちゃいますから。近日公開予定
(出来たらリンク貼る)
ではではー
(↓前回記事: 全体の概要)