現役の理系研究者::ぼくはPhD.KKK

フェローシップ(助成金)獲得で、国内のブラック研究室から解き放たれた生粋のアル中研究者。生命科学専攻。ゆるーくポップに分かりやすく、をモットーに「医科・生物学の話題」と「摩訶不思議な研究職ライフ」を発信します!英語力0からの留学経験に基づく「初心者向け」英語学習テクもあるよー٩( ᐛ )و

【進路】僕が研究職に決めた、たった一つの理由②

研究職・研究者ってなんか調べれば調べるほど、ブラック職種な気配。。実際の研究職の人は、なんでそんな進路を選んだの?ーーそんな疑問に、現役のScientistがお答えします。

 

ちなみにこの話は第二弾。前回の、ざっくりとした研究職解説と、僕が研究職を目指した理由を見てからがオススメ

phd-kkk.hatenablog.com 

まあ前回色々と言いましたけど、
僕はちょっと変な研究者だと思います。レアです。

 

だから今回はもうちょっと幅広く、大学研究職という仕事選択で「良かった」「キツい」と感じている部分を広く共有していきたいと思います。

 

大学研究職って中々に実態不明瞭だから、一応、現役の大学研究職の端くれとして(サイエンスを別に好きでも嫌いでもないって変わり者ですが)、こういう部分は気に入ったり、受け入れられなかったりするかもって部分をお話します。

 

こういうお話から、自分の幸せのカタチが、大学研究職にあるかどうか見極められるといいですね(^^)

 

 

ではでは、
まったり始めましょう!

 

 

 

Scientistの良い所

 

 

実力主義っていうのは利点でもある

 

あなたは、東大卒ですか?

.. たぶん答えはNOでしょう。

 

↑この質問をされたら気分を悪くしません?

.. たぶん良い気分はしないでしょう、普通

 

でも、

 

東大って何?

 

って世界がココにはあります。東大はいうても世界ランキング22位の大学ですし、世界ランキング2位で生物系でも有名なオックスフォード大学の教授より、山中伸弥先生の方が有名でしょう。山中先生を京都大学(現所属)としてカウントするべきか、神戸大学(出身)でカウントするかは難しいですが。。

 

つまり、この業界では
大学マウントは基本的に無意味です。

 

もちろん「三流大学出身者が、東大生に本当にうまく授業できるか」とか「医学部じゃない出身者が医大に所属しても人生相談乗れない」とか、そういう大学経営リスク上での経歴フィルターはありますけど。。でも、この場合、東大は日本の看板でもあるわけですから、日本三流大学出身でも世界的に有名な研究者なら、ちょっと話変わったり。大手企業とかも、出身じゃない部分の研究実績から見る目が変わったり。。

 

いいじゃないか、高校生18歳のときの能力が、僕らの全てじゃないんだ。人間、いつ伸びるか分からんもんだぜ。少なくとも、最低でも精神的には、あなたは日本特有の学歴主義からは解放されます。18歳までの勉強力主義から、大学以降の研究実力主義に変貌します。

 

 

②給料不安定って、ある意味、夢がある

 

大学研究職って先程の通り、雇用形態とキャリアプランは「プロスポーツ選手」に近いです。実力主義で、自分の実力を武器に給料体系や、普通のキャリアプランを吹っ飛ばすことも場合によっては可能でしょう。年俸制や更新制です。もちろん場合によっては、スポーツ選手と一緒で、日本という国からぶっ飛んだりすることも視野に入れなきゃかもしれません。

 

僕が当時、知り合いと見ていたデータだと、日本のポスドクの給料は300-1500万円、平均400万だと程度となっていました。こっちは情報元なかったので、代わりに、情報提供すると僕のポスドク給与は330万円でした。

 

理由は、330万円超えると、税率上がるからですww
(だから、もうちょい出せるんだけどね、とは言われました)

 

*補足*

330万円超えると税金増える代わりに、控除額も増えるから、331万円になると手取り減るってことはありません。ありませんが、雇用主からすると、税率上がるので、払っても実際の受け手の手取りになりにくくなります。だから雇用主払ってくれてる割には、僕の手取りは増えない現象になります。当時の研究資産から僕の給料をもうちょい増やすことを天秤にかけてそうなりましたww (僕、留学決まってたし、少し置いてくれただけでも本当は有り難い)

 

で、330万円の僕が、海外留学して、
給料はだいたい1000万円ですwwww

友人にはもっと低い人も、もっと高い人もいます。

 

同じ職種、同じ業界で、所属変えただけで急に給料が倍になったり(半分になったり)するのは、不安定であることの利点でもありますよね。ちなみにギャンブルではありません。それだけ各国の物価・研究職の立ち位置、補償制度、各研究予算量に違いがあるわけです。

 

規模が10倍あるから、そもメジャーリーグ野球選手の方が、日本リーグ野球選手より給料水準高いのと同じ原理。あるいは、世界経済の中心、シリコンバレーでは年収1500万円が貧民層って言われる状況に似てますね。

 

 

③いうても、博士号(PhD)は国際免許

 

あなたは来年、日本が沈没するとしたらどうしますか?最近、日本政府がどうとか、高齢化でやばいとか、物価下がってると言われてて、将来、iphoneの元値一緒なのに、日本の価値が下がってるからiphone100万円とかになったらどうしますか?

 

そんなときに、PhDあれば、他の人ほどは困りません。

 

というか、そんなに極端な話じゃなくても、日本のサイエンス業界は闇や問題が蔓延ってる割には、とてもレベルが高いので、海外でScientistで生きていく方が遥かに簡単です。だから、海外留学しやすいのが大学研究職です。PhDは国際研究免許です。

 

あと、たぶんどの職でもそうですが.. 日本で就活する感覚のまま世界中の会社にエントリーできたら母数も多いし、会社信念とか求めてる人材も無数にあって、楽ちんですよね。税金とか、物価の理由もあります。日本から出たくない!!.. そういうのも分かる反面、この「日本の研究水準の高さ」と「受け入れ先母数」の理由から大学研究者は確実に、日本にバイバイした方が楽ちんなんですよね、実際(ただし、言語と文化の壁は突破しなきゃいけない)

 

もうひとつ理由があって。

 

日本はいうても、海外で研究経験を積むのを推奨してますから、若手が海外留学するのは凄く簡単で、かつ給料も(その国の物価によりますが)、日本でポスドクするより海外ポスドクの方が高くなると思います。

 

研究は世界人類のものであって、あなた個人の所有物ではない。だから、研究者が世界を舞台に働くのは義務である」.. ある海外の研究倫理の講座でそう言ってました。だから、日本でも、大学研究職に世界を、海外を体験させるための制度が凄く豊富(規模考えると、日本より充実してるのはイギリスしかない)、また海外では当然PhDは国際研究免許なので、受け入れ制度もバッチリです。たぶん、日本で一番、海外で仕事見付けやすい職でしょうね、大学研究職って。もちろん、世界を舞台に働くのが義務なので、留学や海外就職をしなくても、海外や世界を感じる場面は多いと思います。

 

それと、あの。

ちょっと言いにくいんですけど。

 

日本ってまだ鎖国なうですよね??

 

これは個人的な感想なんですけど。 海外来てよかったなと思います。それは日本が悪いって意味ではないんですけど。。

 

日本って日本人が思ってる以上に、今も鎖国してます。極東の名の通り、東は海でアクセスしにくく、西のアジア圏では、昔は、やっぱり日本がちょっとリードしてて、今は単純に仲悪かったりそれ以前の問題で.. こうしたことが原因で、精神的・文化的にめっちゃ鎖国してるってEUから見て、思いました。

 

子供の頃、なんか嫌なことあって別の友達グループに移ったり、そんな経験ないですか?

 

日本は今も形の違う鎖国をしてる国で、閉じた環境って、腐敗や、特定の形質の濃縮、柔軟性の欠如など色んな問題の温床になります。尖った良いものが出てきたりもしますけどね。海外に行くと、日本は空気が循環してなかったことに気付きます。

 

一度、外で大きく息を吸ってみると、なんだか新しいことに気付いたりするわけです。日本に滞留してる空気が美味しいにせよ、美味しくないにせよ、人生一回くらいはそういう経験してみるのも良いものでした。

 

"世界"って言葉は、日本から出たことなら、一生理解できません
旅行でもいいんです.. 子供に世界を話せる大人になりませんか?

 

僕はそれってなんか、格好いい気がしたんです。

 

 

④ 若いっていいな

 

これは大学の研究職に特有ですが、労働環境周辺の平均年齢層が低いです。所属が大学だと尚更、子供ではない、でも大人としては未成熟なキラキラした人達の教育をしたり、一緒に仕事をしたりします。

 

少なくとも僕は、それを良いなあと思います。

 

企業努めの友人は絶句でした。「それって、部署に毎年、未研修の新卒が何人も入ってきて、殆どが1, 3年で退職して、また新しく再研修繰り返すってことだろ?仕事になんなくね?」と言ってました。

まあ確かに、大学部卒は1年、修士卒で3年しか研究室に在籍しないので、仕事を一緒にするのは結構コツとか、仕事の種類とか選びます。

 

しかも大学研究者からしたら、その新人研修ってぶっちゃけボランティア雑務に入ってるってるからやらなきゃって感じ。だって僕ら大学研究職ってスポーツ選手だから、トレーニングして研究で論文書いて、能力値と実績積まないと(若手は特に)。。そこで現研究職から見たら、中学生、高校生みたいな卵たちの指導もやれって無茶振り〜

 

でもスポーツと違うのは、世代が違うとびっくりするくらい違う考え方・捉え方を持ってるんですよね。まあスポーツだと世代違っても僕らの筋肉は同じですしね。研究だと、育ってきたテクノロジーとか情報のバックグラウンドが違うだけで、研究そのものだけじゃなくて、そこから派生するすべての部分での考え方にジェネレーションギャップがあって、しかも色んな人と出会えるから楽しいんですよね。

 

研究者って情報発信者なんですよね、あれです、Youtuberと同じです(笑)。だから、そういう情報交換とか人と知り合ったり、コラボする機会が多くて、人と出会うって素晴らしいなって思えます。

 

大学研究職って、若見えする

 

その理由の一端は、この辺にあるんじゃないかなあ。

 

*注意*

僕、個人の感覚としては、大学研究職は、営業職がびっくりするくらいコミュ力いる。それを忘れて、引きこもって楽しく一人で研究ばっかりしてると人生詰む。「研究は世界人類のものであって、あなた個人の所有物ではない。だから、研究者が世界を舞台に働くのは義務である」からです。

 

 

総括: 大学研究職が特殊だからこそ

 

大学研究職って特殊で実態不明瞭、整備もされてないからこそ、たぶん、普通の人達が一切経験しないことを知ったり、感じたりすることができます。楽しいことも、大変なことも。僕は、人生タイムリープしても大学研究職を志しますよ。

 

いや、まあでも今の人生観とか経験値とかスキルとか、、全部、もってタイムリープするなら、ちょっと悩みますね。

 

結局、研究そのものを僕は好きなわけではないし、そもそも大学研究職っていうのは仕事なわけです。この仕事に特化したスキルや技術ってぶっちゃけ全体的にはそんなに価値はないです。でも、研究職を志してルート選択したからこそ得られる、人生経験、考え方、価値観、能力値ってものには凄く価値を感じてます。それらはたぶん、研究職を志す以外の人生選択ではほとんどの場合は体験できません

 

こういうのもう持ってタイムリープするなら、別な人生選択するっていうのもアリかもしれないです。

 

研究職ってどの道、志して研究と人生を共にするなら、大学院進学って選択肢がだいたいセットで付いてくるわけですが。。中学生の自分より高校生の自分が経験値豊富だったように、高校生の自分より大学生の中で成長できたように、”学”の中に居るっていうのは成長機会が豊富で、大学院だってそういう可能性に満ち満ちてます。

 

研究職を志すのか、そういうものは度外視で、今、自分が大学院進学して、この"学"にいる時間を伸ばすことで自分の未来と成長性を感じるなら、進学したら良いんじゃないかなあとは思います。もっと先の将来は分からないけど、大学院進学で迷ってるって人はそういう判断でもいいかもしれませんね。

 

スキルや経歴一つ二つ、それは良い補助だけど
自分のレベルと能力値が高いほうが、いつでも有利です

 

 

え?

Scientistの悪いところ?

 

もうココで心躍ったあなたには必要ない!!

なんてことは言わないので、次回記事も見に来てくださいww

 

↓次回記事。書いたらリンク貼る

Scientistの悪い所

 

質問とか、記事のリクエストあればTwitterまで

twitter.com