【ライフ】採択申請書・エントリーシートを書くために、”本当に”必要なこと③「研究申請書:実践編」
ぶっちゃけ「申請書の書き方」で検索出てくる情報ってパッとしない、ぼくのエントリーシート(ES)、研究助成はどうすればいいんだ.. 採択されなきゃダメなんだ!!
そんな疑問に、現役の理系研究者が自分の
"成功と失敗の連続"を踏まえてお答えします。
こんにちわ、PhD. KKKです。
就活生にとってはエントリーシート
研究者にとっては研究申請書
いつ過去を振り返っても、ぼくたちの人生って「ライティング力」があればこそ、切り開けた未来は多いです。あるいは「ライティング力」があれば、あったかもしれない未来。もっと楽で、もっと色んな可能性があったはずです。
例えば..
猛烈に引き込まれるような研究申請書
泣くほど感銘するエントリーシート
.. あと絶対、きゅんとしちゃうラブレター
(↑これあれば、ぼくにもカノジョ..)
皆さん「内容で勝負!」って思ってるかもしれませんけど.. 事実として何事も「内容×表現力」で判断されているわけです。良い内容も伝わらないかもしれないし、見せ方で微妙な内容も輝くかもしれない。。
シンプルな事実として、ぼくらはAIじゃないので、論理的な判断をしようとしても、どうしても「感情や感覚」は判定基準に入ってきます。
だから
ライティング力=文章力
.. しっかりとした文章書けばいいんでしょ?
そう思っている人は結構"危ない"かも。
エントリーシートも研究申請書も「売り込み」です。
採択には誰かに好印象を持ってもらう必要があるわけです。
ぶっちゃけセールライティングって
心証操作のテクニックなんです
.. これが出来れば「同じ商品」でも、あなた"は"売れる。
重要なことなので、聞いて下さい。
セールスライティングには"公式"があるのですが
あなたは幾つ使ってますか?
人の心に響く、好印象を与える"心証操作のテクニック"ってのは、その道の研究者に散々解析されています。過去、人を大きく動かした文章/プレゼン、そういった天才の産物を沢山の秀才が解析して、公式化してくれているわけです。そういうものがライター業界では"常識"で、皆知って、皆使ってるんです。
卑怯です!!
ぼくらも仲間に入れてもらいましょ!
(↓以下、まず、これまでのおさらい)
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前回記事①では、全ての書類は「心証 (内容ではない)」で通過できるか決められているっていう結構ショッキングな内容をお話しました。セールスライティングの基礎原理です。セールスライティングは読み手の"理解"ではなく"感性"をコントロールするものなんです。
簡単に言って、
あなたが審査員だとして、人事だとして
ES/研究書類を読んでボロ泣きするようなら
.. まあ多少採点基準を外してても
その書類通しちゃいませんか?
.. あるいは、そこは理性で堪えたとして
できれば通したいな、と思いながら採点しませんか?
「通したいって心」か、
「なんか微妙だなって」心か、
それは記載された採点基準より影響が大きいんです。
ぼくらは、感情ある人間で、AIじゃないもの。
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前回記事②では有名セールス公式
(テク..じゃないです、当てはめるだけ=公式)
「ゴールデン・サークル」について簡単解説と、実践的な使い方をご紹介しましたね。人の意思決定の脳構造に則るなら、人は「感情⇒意思決定(無意識)⇒論理(納得探し)⇒意思決定」で全てを判断しています。だから、無意識下の意思決定が、ネガティブなほど、あなたの書類の"粗"は目立つし、ポジティブなら多少の"粗"には気付かれません。
だから簡単に言って、
WHY / What for / 自分の信じる(輝く)未来
を最初に見せてあげましょう。目的じゃなく、信念です。掴みたい未来です。未来に想いを馳せることは、論理ではなく、感情に訴える最初のものです。それが WHY です。この未来の"輝かしさ"を強調するために、現時点との「乖離」を主張するといい.. なんて言いましたが
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今回は、そういうお話。
その辺りの深掘り解説。
ゴールデン・サークルは、もう1つの超有名セールスライティング公式「ストーリー・フォーミュラー」と組み合わせることで相乗効果を発揮します。この公式は結構有名、ジブリ映画とかピクサー映画が、毎回使ってる公式ですから、名前は知らなくても、覚えはあるはずですよ、きっと。
あ、今回もリクエスト通りに、研究申請書の観点から解説していきます!
<目次>
先にざっくり結論
「研究の背景・目的」の部分で、
非採択申請書に入っていない重要要素は
❶あなたの信じるもの
❷あなたの歴史
❸論理性→主観への転換
❹???
有名公式②: ストーリー・フォーミュラーとは?
古今東西、神話を含めて、人類史には無限とも言える「物語」が残されています。何百年って人に記憶されている物語(例えば、聖書, 神話, 昔話)って、冷静に今、考え直すとヤバくないですか??
それら「ほぼ全部に当てはまるストーリー展開のパターン」が見つかった!
そういったら、あなたもきっと興味出てくるはず。
なんだか自分にも"人に覚えてもらえる何か"が書ける気がしてきちゃいます。フォーミュラー=公式。それがストーリー・フォーミュラーです。だいたいのジブリ映画やピクサー映画は結構まんまコレです(批判じゃないです)。調べればすぐ出ると思います。
ぼくら研究者。N数/ポジコン/ネガコンから法則性を見出していく生き物.. ですよね?相手に響くライティング法則「ストーリーフォーミュラー」ってライター業界の"研究者"たちが「沢山の成功した演説/今まで現存できた物語/〇〇の神様って呼ばれた天才」を解析しまくって見付けた法則性です。こういうと、この公式メソッド使ってみるか、となりません??
ちなみに他に、ストーリー・フォーミュラーが
捉えやすい有名そうなアニメ作品は..
(映画とか小説の方が良い?)
(でも海外ドラマの方が分かりやすいかも)
・ワンピース
・東京喰霊
・ソードアート・オンライン
・鬼滅の刃
・ダーウィンズゲーム
・進撃の巨人
とかです
.. え?なんでバトルものばっかりだって?
お前の趣味じゃないかって?
ぼく、エヴァっ子なので趣味じゃないって信じて下さい!ただ書いていて気付きましたが、バトルものアニメ、海外ドラマはこの「ストーリー・フォーミュラー」が分かりやすいですね。。
ちなみに、"新世紀"エヴァンゲリオンはストーリー・フォーミュラーに微妙に沿ってません。そういう天才が新しく作る作品は、また後世が時間をかけて解析・解明していくことでしょう.. ぼくらは上記みたいな「ある程度、解析済みの公式」をまずは勉強しましょ。
*個人的には、東京喰霊、ダーウィンズゲーム、鬼滅の刃は結構勉強になりました。
閑話休題。
ストーリー・フォーミュラーは一番有名な公式「12の展開式」から構成されているのですが、ビジネス・セールスライティングに最適化されたバージョンはその「第1から4」くらいを基盤に設計されています。
まずは馴染みがあって理解しやすいと思うので、アニメ・映画などで使う「12の展開式」の内、ビジネス・セールスライティングと共通している部分を紹介します。
<通常の物語版: 公式>
↓
❶日常 (: 問題意識の欠如)
❷冒険へのいざない (: 問題意識の芽生え)
❸冒険への尻込み (: 変化への戸惑い)
❹仲間との出会い (: 変化を受け入れる)
.. これ、話戻っちゃいますけど、まんま最初の方のワンピースじゃないですか?ルフィ視点じゃなくて、"仲間になる相手"側の視点です。基本的にアニメなら最初1,2話で、③まで行くはずです(だから上でアニメ選んだんですけど)
なんだか少しイメージつきますよね。こういう物語、ぼくらはいっぱいエンタメ消費してきたはずです。これを広告・ビジネス・研究申請書について書き換えるとこうなります。
<セールス版: 公式>
↓
❶似ているスタート
❷チャレンジ/失敗/研究(改善)の連続
❸突然の出会い・発見
❹(小さな)成功の連続
❺詳しい分析⇒メソッド化
.. 広告だと、この後に、⑥自分じゃない誰かでの同じ成功体験、⑦次はあなたの番です、ってなります。これはYoutube広告が結構いい勉強になります。あの胡散臭いストーリー漫画みたいなやつです。あれが良作なわけじゃないですけど、この展開を意識していることがとてもよく見えます。だから、ぱっとイメージできない時にはとても参考になるんですよ
前提として。
ぼくは一貫して「心証: 感情」を叩くライティングが必要と言っていますが、人はどんな時に感情が刺激されるのでしょうか?セールスライティングの神様と呼ばれた天才たちは
人は..
・高い共感性がある
・ストーリーに感銘するものである
と言っていたそうです。それを踏まえて、ストーリー・フォーミュラーのよくある理論構築を僕なりに噛み砕いて構築するとこうなります
ストーリー・フォーミュラーの使い方解説
①日常 (問題意識の欠如)
/ ①似ているスタート
ここでは、誰しもが"共感"できるお話をすることで、話し手(書き手)の展開する内容に、同調していく基盤を構築します。重要なのは情報の共有をするのではなく、同調を誘うことです。
研究申請書であれば、もっとも究極的なゴール、同分野の誰しもが思い描いているはずの未来の展望を示します。これは逆説的に、現時点では実現できていないという"乖離"を示すことでも良いわけです。
(例)
1. 〇〇って病気は大変
2. これまでのこんな研究で✗✗まで進歩した
3. けど、まだ究極的な未来じゃないだろ
ここまでが"日常"です。
ここまでが"似ているスタート"です。
超重要なんですけど、ココを"問題提起"とする申請書はすべからく不採用されてきました。ココ(以下の例が重要)はまだ日常、似ているスタートに該当する部分だからです。ぼくだけじゃなく、ぼくの先輩後輩、ビックラボのN数たちを見る限り、この部分を問題提起にすると軒並み不採用でした。
<わかりやすい例>
〇〇の治療法は未だない
〇〇は未だ解明されてない
――なんてのは、殆ど共有されきっている日常です。
"①似ているスタート"という部分、じわじわと来ませんか?
なので、研究申請書の場合は、まず「まだまだ実現できないけど、最終的に到達するべき場所・未来」を大目標として示した上で、さらに本研究課題における「そのために目下実現するべき少目標」を示さなきゃならないんです。
これ、実は海外フェローの申請書とか、フェロー講座だとフツーに習います。最初、Goal, Achievement, Purpose の違いはよく分かってなくて、ぼくは苦労しました。。
本当に重要なポイントなのでもう一回書きますね。
ぼく、自分で見直すとき逃すなよ!!
Final Goal へ向けて、
目下、必要なAchievement です。
②冒険への誘い (問題意識の芽生え)
③冒険への尻込み (変化への戸惑い)
/ ②チャレンジ/失敗/研究(改善)の連続
この部分は、通常のオリジナル版の②③が、セールス版としては1つに統合されています。ここで、今、解決すべき、目下の"ピンポイント"の問題を提起します。かつ、そこに既にチャレンジを積み重ねている.. それを
④仲間との出会い
/ ③突然の出会い発見
これに繋げます。
ここ超重要な2つ目のポイントです。「チャレンジ⇒尻込み/停滞⇒出会い⇒ブレイクスルーの予感」この部分をうまく繋げられるかどうか、っていうのは研究のテーマ設定に依存している部分も大きいですけど、可能な限り、自分の研究の歴史を書きましょう(苦肉の策で、ラボの歴史)。
よくある勘違いとして、
分野の歴史や歩み、ではダメなんです。
もう一度、書きますけど、
人は..
・高い共感性がある
・ストーリーに感銘するものである
最終的に、ぼく or あなたに、この申請書から"共感・感銘"してもらう必要があるので、ぼく達の申請書では、同分野で共有しきっている日常、から、ぼく(ら)だけのストーリーに転換するべきなんです。
他にも、理由として、一貫性の法則やハロー効果、という心理効果を得るためです。
本研究課題が、過去の自分/ラボの歴史や積み上げてきたものに"紐付いている"と、一貫性の法則から、その成功体験・歩みが、本研究課題でも得られるのではという錯覚が起こります。人はそういう心理効果を持っている生き物です。
さらに、ハロー効果は、権威による期待の増大効果です。これまでも積み上げてきた実績(論文や賞)などがあるとその権威に同調して、「まだ何の成果もない」本研究課題にも権威がみえるような気がするのです。これは一貫性の法則で、過去の積み上げと"一貫して"紐付けしているからそう見える、という心理効果もあります。
なので。
(例)
1. 〇〇って病気は大変
2. これまでのこんな研究で✗✗まで進歩した
3. けど、まだ究極的な未来じゃないだろ
4. この究極未来実現のために△△してる
(↑自分の信じているもの)
5. そこで"自分は"チャレンジを積み重ねてきた
ぼくのライティングメソッド解析的に、また留学フェロー6個採択されてる経験則として、この展開式がベストです。もちろん、研究分野を大きく変えることが条件がある時や、自分が大きく研究分野を変えている時は、これをベースに修正する必要があります。
ただ可能な限り、
自分の歴史と今から立ち上げる研究課題をリンクさせるべきです。直接的に知見が繋がっていなくても、間接的にメソッドなどでも大丈夫なので..
*あなたのキャリア的に大きく違う場合でも、ラボでは一貫している可能性が高いので、その場合は、少し諦めてまずは「ラボの歴史/一貫性/権威性」に同調してもらいましょう
で、ここに「④仲間との出会い / ③突然の出会い発見」を繋げていくんです。"着想に至った経緯"ってやつです。もし可能なら、"思いがけない"発見、だとなお良いです。この展開じゃなきゃいけない理由はもう皆さん、分かってきますね。この流れから「解決方策 Purpose」を打ち出すと
・自分/ラボの"ストーリー"から生まれている
・これまで積み重ねてきた"一貫性"から生まれている
(↑つまり、着想の実現性にも、ハロー効果とか乗ります)
あと、これ前回記事でも書いたんですが、ぶっちゃけ、研究申請書における「独創性」は、オリジナリティである必要はないんです。アイデンティティでいいんです。ちなみに、特色は他にはない「売り: セールスポイント」です。
全ての先生は、同研究分野内に、自分だけの領域、ゾーン、立ち位置を持っています。それはつまり、その領域内のことなら「その先生じゃないとダメだ」という独自性です。「あなた"が"その領域の研究をしなきゃならない無比の理由」です。そして、その無比とは、過去に自分/先生/ラボが積み上げたストーリーなわけです。
つ
ま
り
自分/ラボの過去のストーリーから出した「ワンポイント・アイディア」が解決方策である場合、強烈な「独創性」として認識されます。しかもそこには、過去、そこで何か積み上げてきたという保証が付くわけです。実際は、過去と次には関係性がないにも関わらず。
人は、ストーリーに感銘するもの、だからです。
なので。
(例)
1. 〇〇って病気は大変
2. これまでのこんな研究で✗✗まで進歩した
3. けど、まだ究極的な未来じゃないだろ
4. この究極未来実現のために△△してる
(↑自分の信じているもの)
5. そこで"自分は"チャレンジを積み重ねてきた
6. だから、このアイディアに至った!
さて。
本当に重要なポイントなのでもう一回復習しますね。
ぼく、自分で見直すとき逃すなよ!!
Final Goal へ向けて、
目下、必要なAchievement です。
そこに進行中で、
すでに何かを積み上げてきた "自分/ラボ"
だからこそ、見出した今回の Purpose です。
(↑このAchievement、が"必要")
④(小さな)成功の連続
⑤詳しい分析⇒メソッド化
さて、セールス版に残された最後のシメの2つ。ここは方法論の確立「研究方法」にあたる部分ですが、研究については、大した話ではないです。プレリミナリーデータは、ココに入れるのが一番効果的であるというだけです。
「①似ているスタート〜③突然の出会い発見」で、一貫性の法則/ハロー効果から、かなりの信憑性を積み上げているので、プレリミナリーデータの期待値が圧倒的に高まってます。
よく研究目的やストーリー構築の部分にプレリミナリーデータを入れたりしますけど、それは反対にハロー効果を得る(論文化できてない)ことになるので、よほど信憑度が高いデータ(メタ解析など)、か、信憑度が関係ないデータ(一次スクリーニングなど)でなければオススメしません。
.. というか。
ここまで来たら、もう一回目の「感情⇒意思決定」の部分は過ぎているので、「意思決定⇒論理」のステップです。手堅く書いていきましょう。ただ、前述の通り、無意識下の意思決定が、ネガティブなほど、あなたの書類の"粗"は目立つし、ポジティブなら多少の"粗"には気付かれません。
ここまでで、過去から今へのストーリーで「この研究はイケそう」って錯覚してるので、多少、粗くても大丈夫です。こんなこと言うとアレですけど。ぼくMSCAフェロー採択されましたけど.. 実は、研究計画の部分、"コピペミスで途中3文ほどざっくり削れて"×3箇所、意味不明なところありましたし、その経験則的に間違いない!
審査員の人は稀に「減点方式」だっていう人いますけど、、あれ、嘘ですよね?本当にそうならミスのない書類が通るはずです。絶対、各項目を見て、加点方式です。断言します、だって、ぼくの知り合いの先生みんなそうだもん。。ぼくの書類、ミスいっぱいだもん。。
まとめ
たぶん、一貫して読んでくださってる方は、前回記事で説明した「ゴールデン・サークル」って「ストーリーフォーミュラー」と半ば融合していることに気付くと思います。だから、2つの公式を別で知っていると、2つの視点から、序盤の書き方を理解できるので、とっても使い勝手いいです。
今回の全体像として、
オススメの研究申請書の書き方は、
❶究極の問題"共有"
: 意外性のない同分野の常識
❷自分/ラボの立ち位置と歩みの明示
: 業績や賞など、権威性の確立過程
❸目下、解決するべきピンポイントの課題
: その過程を辿った最先端だからこそ発見
: 他の人にはない、自分たちの理論から生まれた思いがけない気付き
❹すでにある(小さな)成功の連続
: プレリミナリーデータの本当の使い所
もっとざっくり表現すると、
Final Goal 〇〇へ向けて、
目下、必要なAchievement 〇〇。
そこに進行中で、
すでに何かを積み上げてきた "自分/ラボ"
だからこそ、見出した今回の Purpose 〇〇です。
(↑このPurpose、が"必要")
そ
れ
で
この申請書構成にすると、自然に取り入れられていて、ここの意識が抜けると、案外、申請書で記載されてない重要な「心証・感情(感覚的な)」コントロールに不可欠の要素は..
「研究の背景・目的」の部分で、
非採択申請書に入っていない重要要素たち
❶あなたの信じるもの (←"目下"の課題)
❷あなたの歴史 (←同業界、でなく)
❸客観⇒主観への転換
❹"あなた"がそれをする納得 (←アイデンティティの主張)
これは、申請書の要項になくても、入れなくてはならないです。コレらなしに申請書の研究課題が"あなたのもの"になることはないからです。つまり、コレらがないと、イマイチ信憑性や納得感のない申請書になり、独創性、の評価が低くなってします。
論理的で分かりやすい、納得感もある
けど、なんとなくイマイチ
。。そんなこと言われた覚えがあるのなら、コレらが主張できてない書類なんだと思います。本研究課題をする、あなたのアイデンティティの確立に失敗してます(←ココを越えられない書類が多いんです!だから採択されるには越える必要があるんです)。
ふう。。
自分としても、結構うまく文章化できたのでは、と?自画自賛したい今日この頃です.. 自分が申請書書くときには、まずこれで意識的にリマインドしてから書こう! .. そう今、思っていることが、何よりもこのノウハウで、少なくとも、ぼくがフェロー採択されてきたって担保だと思います。
ではではー
結構書くのしんどかったあ!!!
*補足*
研究申請書における他要項
<特色>
ココは明確に方法論、メソッド的な特徴が一番簡単ですね。
<インパクト/将来の見通し>
ココは、最初の1つは、研究目的で挙げた「究極目標 Final goal」の実現への期待、一歩ですけど。。それだけじゃ他書類と区別化できないので、その前提を審査員と再確認した上で、それ以外にプラスで幾つか挙げていきます。
①自分の立ち位置、を超えた波及効果
もちろん、究極目標 Final goalの実現には役立つけど、「他分野や他立ち位置の研究分野の活性化」したり、あるいは「メソッドや概念的な応用: 見方を変えると、別な貢献が見えてくる」というのが分かりやすい一例ですね。
②主効果、に付随する副次効果
もちろん、究極目標 Final goalの実現には役立つけど、「今進行中のメジャーなこんな専攻研究と比べて、本研究アイディアには〇〇な副次効果が期待できるかも」あるいは反対に「今進行中のメジャーなこんな先行研究では〇〇な(良くない)副次効果が懸念されてたけど、本研究アイディアにはそれがない」というのが結構、分かりやすい書き方でしょうか。
<他のよくある誤解シリーズ>
❶一度言ったからもう表現しない
/繰り返し表現を避ける
ぶっちゃけ、本当にコアになる大切な概念は、視点や見方、エヴィデンスを変えて、何度か似たような形でチラ見せした方がいいです。特に、前提として理解してほしいけどメジャーなことじゃないなら、なおさらです。
人が、一度に、覚えられるのは7字までって言われてますから。翌か、翌々ページでは忘れてる可能性が大です.. 後は、合間にフツーに別の仕事入る可能性もありますからね。
❷している→する、した、に全部してしまう
なんかのノウハウ本で見たことあるので、一応記載。ちょっと喧嘩打っちゃいますけど、上のこと言ってる人は「論理」の理解が高い反面、「日本語」への感覚理解があまり得意じゃないかもしれません(←え?もちろん過去のぼくです)。
「している」と「する/した」は全然違う表現なので、必要なら削らないで下さい。
(文脈によりますけど)「している/してきた」は基本的に、過去からの継続を最も簡単に"感覚的に"意識させる表現です。「した」は過去の事実提示ですから客観的な論理表現には最も適しています。「する」は普遍的事実、か不確定な未来の表現、でしょうか、これも結構文脈によります。
.. ね?結構意味合い違いません?
ストーリーは継続の上に成り立っているので「している/してきた」は効果的です。
❸Un-publishedの業績を全く入れない
Tweeterで連絡もらって気付いたのですが、これ、皆さんはどうしてますか?業績は「査読済もの」に限定されていたし、「投稿中/リバイス中」だから、勝手に書いたら減点される.. と思っていませんか?
答えは(一部)NOです。
"業績欄に"、となると入れないかもですが、研究背景などの他の部分には"絶対"入れたほうがいいです。理由は、前述の「一貫性の法則」や「ハロー効果」を不変的な事実(エヴィデンス)として得ることが出来るからです。まだアクセプトされていなかろうと、投稿レベルのものを達成してきた、というポジティブな心証効果は大きいです。
だって、皆さん、論文出すのは大変だって分かってますよね?
アクセプト得る段階も凄く大変ですけど、形にするのも、めちゃ大変.. そこを越えられるくらいには、これまで積み上げてきたって主張する価値は十分あります。
ち な み に
入れたら、要項外のこと書いてるから、減点されるは、絶対ないです。だって、ぼくバンバン書いていて、なんなら"投稿準備中"とかまで書いてます。ぼくが言いたいのは「未確認的業績を書いた方がいい!」ではなくて、「そういう要項外、指示外が減点される」ならぼくがフェロー通過するのはおかしいって話しです。
採点指示外なので、業績加点はたぶんないです。でも、ソレ以外、「感情面+信憑性」の獲得に有効なので、入れてます。研究者ってだいたい論文絶対主義ですから.. 残念ながら、皆さん同意しちゃいますよね??
Un-published業績を示すのは、そんな「論文を視野に入れてる」って意味合いから「感情ポイント」の獲得が目的なので、やはり、脳の意思決定に沿って(以下図)、早い段階で示すようにしています。
論理に、思考が入ると、感情の加点は得られないですからね。
それからたぶん、業績する少なかった時代には「業績欄」にも加筆してたと思います。前に書いてあるとおり、加点されなくても、もし多少減点されても、ソレを越える「潜在的な加点」があると思うからです。
学振などの審査受けられる人は、やっぱり業績主義な確立が大なので、「リバイス中」だってそれなりに効果ありますし、逆に「投稿中」なら.. まあ投稿自体はどこでも出来るか、と判断されるかも知れませんけど.. それでも形にしているのか、という理解が、絶大な「ハロー効果」になります。
最後に。。
こんなこと言うのもどうかと思いますけど、よく「審査員が解説!科研費の書き方」みたいな講座ってありますけど.. 個人の考えとしては、本来、ぼくたちに必要なの講座は「採択者が解説!」かなと思います。
ここまでの話を読んでみると「審査員の目線」って結構あやしいなって思いませんか。最終的には「項目を見ているので、採点ポイント」は勿論あるんですけど、「審査員の目線」は採点以前に、心証・感情によるスタンスを確立されているわけです。
採択申請書は、潜在的に、水面下で、このスタンスの方向性を操作しています。審査員にその部分を解説する人がいたら信用できるのですが.. 審査員の採点ポイントだけを気にしていても、ぼくが見る限りでは「どうみても、採択申請書たちは、読み手の心証に多大な影響を及ぼしている」ので、採択には程遠いと思っています。
論理的で分かりやすいけど
なんか、イマイチなんだよね
指導教員にそんなこと言われませんか?
この記事をよく読み解いていけば、きっと、あなたも変わります。